投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 10 日 03:28:30:
金融庁は9日、来年4月のペイオフ(破たん金融機関の預金払戻保証額を元本1000万円と利息に限る措置)凍結解除に向けた金融危機防止策を固めた。ペイオフ実施に伴う預金流出で金融機関の破たんが相次ぎ金融システムの危機に発展しそうな場合は、これを防ぐために国の危機対応勘定(15兆円)から公的資金を投入し、預金の全額保護に踏み切る。一方、急激な預金流出に迅速に対応するため、金融機関の流動性に対するモニタリング(監視)体制を強化し、凍結解除に伴う混乱回避に万全を期す。
ペイオフ実施後に公的資金で預金を全額保護するのは、預金保険法に基づいて設置される金融危機対応会議(首相、金融担当相、日銀総裁ら6人)が「金融機関の破たんが国や地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障を生じる恐れがある」と判断した場合で、同会議の議決を受け、預金保険機構にある危機対応勘定から公的資金が投入されることになる。「少人数の会議なので破たんの連鎖を防ぐための機動的な対応が可能」(金融庁幹部)とみている。
ただ、公的資金投入は金融機関と預金者の自己責任を明確にするペイオフの趣旨と逆行する。このため同庁は、公的資金を最終的な安全網と位置づけ、凍結解除前の段階で金融機関の経営安定化と再編を急ぐ。
金融庁は、すでに検査を終えた信用金庫や信用組合の再編を進めているが、健全性に問題が残る一部の地銀にも増資や合併を促す方針。その判断材料として、今年に入って一度検査を実施した地銀・第二地銀の数行に対して、異例の2度目の検査に踏み切る。3行には10月下旬に着手した。
また、体力の弱い金融機関が預金者や自治体から預金を相次いで解約されて流動性不足に陥る事態を防ぐため、金融庁は日銀との連絡を一段と緊密にして資金移動のモニタリングを強める。
ペイオフの凍結解除は当初予定より1年延期されて来年4月からになっているが、与党内から「中小金融機関からの預金流出が地元企業に対する貸し渋りにつながりかねない」などと再延期を求める声が強まっている。このため、金融庁は一連の危機防止策を説明して理解を求める方針だ。 【木村旬】