投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 25 日 12:33:56:
出向で移った先の会社に社員を再就職させる「転籍」が増えている。大企業100社対象の朝日新聞社の調査では、17社が「転籍の拡大」を人減らしの手段として挙げた。出向のままなら社員としての身分は変わらないが、転籍となると賃下げなど待遇が下がることになりかねない。増える転籍は、終身雇用の行き詰まりを象徴している。
朝日新聞社の調査によると、IT(情報技術)不況で事業再編に動く電機業界では、分社化に伴う転籍が急増する。東芝の労使は、事業移管や分離を伴う他社への出向について、1年の出向後に原則として転籍する転籍協定を昨年9月に結んだ。
東芝の場合、これまで他社への出向は3年間までで、その後東芝に戻るのが原則だった。新協定で「片道切符」を手にする従業員に対しては、生活への影響などを考え、転籍後5年は東芝時代の賃金を保証する。今年1月に分社化したエレベーター事業の800人が第一号の適用者になった。
その東芝と液晶事業を統合、来年4月に新会社をつくる予定の松下電器産業は「東芝に転籍協定があるのに松下にないと、社員に不利益が生じる」(幹部)と転籍協定のあり方について労組と協議する考え。液晶事業の人員は東芝2100人、松下1700人。新会社に何人移るかは未定だが、多くが転籍の対象になりそうだ。
繊維不況などをくぐり抜けながら国内の雇用を維持する東レは、グループ会社への転籍を活用することで雇用維持に役立てており、今後も転籍や、転籍前提の出向を増やす方針だ。建設業界では、鹿島が57歳までを対象に、関連会社への出向は原則転籍としている。
NTTが5万5千人の転籍を決めるなど、リストラを迫られる企業で転籍が増えていることに、労働界は危機感を強めている。日本労働組合総連合会(連合)が8月に発表した約4千社対象の調査では、過去1年に「出向・転籍」をした企業の割合は15%。98年調査の7%の2倍に増えた。連合は、解雇や採用など労働に関するルールを明確にした労働契約法案(仮称)の成立を目指す中で「転籍には労働者の同意を得る」ことの明文化を求める。(11:36)