投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 25 日 10:33:28:
完全失業率は過去最悪、大手企業の相次ぐリストラ、倒産の増加、今冬ボーナスの前年割れ予想−−。雇用環境をますます暗くする事柄が多いなかで、「削れるところは徹底して削る」という家計の節約意識はさらに高まっている。
日本リサーチ総合研究所がこのほど発表した「今後1年の消費と貯蓄の見通し」についてのリポートによると、今後1年間に外食、娯楽・スポーツ、旅行など生活に最低限必要ではないモノ・サービスへの支出が「減る」と答えた人は4月調査時よりも増えた。
また、住宅ローンの返済、その他の借入金の返済、生命保険などの保険料の支払いも「減る」と答えた人が増大。同総研では、貯蓄、ローン返済なども、このところの縮小の意向がわずかずつではあるが強まってきており、消費支出だけではなく、家計全体を切り詰め、縮小しようとしている「家計の防衛的な姿」がうかがえるとしている。住宅、自動車の購入なども控え余計なローンを背負わないようにし、さらには預貯金も「減る」見込みだという。
日本銀行が先に発表した「生活意識に関するアンケート調査」結果でも、現在の暮らし向きについて「苦しくなってきた」と回答した人の割合がほぼ半分に上った。また、1年後の収入は現在と比べ「減ると思う」との回答割合は前回調査より増えほぼ4割に上り、雇用環境も、現在の勤務先の雇用・処遇に「不安を感じている」との回答が全体の8割と高い水準となった。
消費、支出動向に大きく影響する所得、収入の動きをみると、総務省の家計調査では、7−9月のサラリーマン世帯の実収入は前年同期に比べ1.5%減少、収入から社会保険料、税金を除いた手取り分(可処分所得)は同1.7%減。厚生労働省の毎月勤労統計でも実質賃金は8、9月と前年比マイナスとなり、夏のボーナスも前年水準を下回る低い水準となった。
「今年に入ってからの急速な景気減速による企業収益減少が、倒産件数の増加やリストラの加速につながるのは、これからが本番と考えられる」(バークレイズ・キャピタル証券の山崎衛チーフエコノミスト)と、民間エコノミストからは雇用情勢の悪化はまだ序の口との厳しい声が聞かれる。家計がさらなる「防衛」策を講じ、支出を抑制する動きは一段と強まりそうだ。