投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 25 日 10:18:21:
政府が初めて策定する「中期経済財政計画」の骨格が24日、明らかになった。国債発行額の「30兆円枠」については来年度当初予算では堅持するが、03年度以降は目標設定しない。目標を決めると、景気の悪化で歳出削減を迫られ、景気を一層悪くする恐れがあるためだ。ただし、その一方、公共投資の積み増しで景気を刺激する従来型対策は「危機的状況」となる時以外は封印することを打ち出す。
中期経済財政計画は30日に取りまとめるが、30兆円枠への固執が景気の足を引っ張りかねないことを認めた形で、小泉政権の公約との整合性も問われ、30兆円枠の見直し機運が高まる可能性もある。
小泉首相は「来年度の国債発行額を30兆円以内に抑制する」と公約している。02年度の国債発行額は33兆3000億円と見込まれ、3兆3000億円の歳出削減が必要になるためすでに概算要求段階で約1兆6000億円削り、残りは予算編成過程で調整する。しかし、03年度以降も景気悪化が続けば税収見積額が落ち込み、その分歳出削減を積み増さなければならない。
中期計画では「景気悪化で税収が減り、社会保障費など義務的経費が増加する財政の自動調節機能を活用する」との表現を用い国債発行額についての目標設定をやめる。一方、従来の景気対策は、一時しのぎにすぎず、国の債務膨張を招いた経験から、「危機的状況」となる時以外は封印することを示す。
このほか、明記する予定だったプライマリーバランス(国債関係費を除く歳出・歳入の収支)の黒字化見通しは、日本経済の2、3年間の集中調整期間では「増税なき財政再建」を行うことにしていることから、今回は数値目標などの形では掲げないことにした。 【白戸秀和】