投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 25 日 10:15:25:
大手14行の02年3月期の不良債権処理額が最低でも6兆5000億円規模に達することが24日、明らかになった。今年5月に公表した当初計画約1兆8700億円の3・5倍以上に拡大する。株価下落に伴う株式含み損の償却もかさみ、三菱東京フィナンシャル・グループの2行と住友信託を除いた11行が最終赤字に転落する。金融庁の特別検査を踏まえ、不良債権処理を加速するもので、今後、問題企業の再編・淘汰(とうた)が本格化しそうだ。
みずほフィナンシャルグループとUFJグループが2兆円程度を処理する。三井住友は1兆円、三菱東京は5000億円を処理する。あさひが4000億円、中央三井も1300億円程度処理する。大和も当初計画比4倍近くに増やし、安田信託も増額する。住友信託は当初計画と同じ800億円で、14行全体で6兆5000億円規模となる見通し。一部の銀行はさらなる上積みも検討しており、7兆円近くになる可能性もある。
大手行は、95、97、98年度決算で10兆円前後の不良債権を償却しており、それらに次ぐ水準となる。
4大グループは今後3年半で、2万1000人余の人員削減などリストラを強化する方針だ。
各行とも、回収に注意を要する「要注意先債権」と、要注意先のうち貸し出し条件などを甘くしている「要管理先債権」の引当率を大幅に引き上げる。特に、大口融資先が集中し、不良債権比率が高いゼネコン、流通、不動産といった特定業種に対する償却スピードを上げる。
要注意先債権だったマイカルの破たんで、要注意先債権への引き当てが甘いとの疑念が拡大し、金融庁が、要注意先の大口融資先のうちゼネコンなど特定業種について特別検査を行っているためだ。
各行は引き当てを強化したうえで、取引先の大胆な統合再編や法的整理などに乗り出す。整理回収機構(RCC)へ不良債権を売却したり、不採算部門を切り離して収益の上がる事業だけを残すなど、「抜本的な処理に取り組む」(大手行首脳)考えだ。
ただ、一部大手行は、優先株の配当原資である剰余金(資本の一部)が枯渇し、法定準備金の取り崩しに追い詰められている。特別検査の結果や株価、景気の状況次第では、公的資金再注入論が本格化する可能性もある。 【藤好陽太郎】