「外債購入」発言は日銀の危機感の裏返し−2人の中原委員(解説) 金沢 11月22日(ブルームバーグ)

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投稿者 SANETOMI 日時 2001 年 11 月 23 日 00:26:21:

  21日公開された議事要旨で「外債購入 は可能」と指摘していた中原伸
之審議委員の発言に続き、日本銀行による外債購入オペの可能性を報じた22日付の英フィナンシャル・タイム
ズ(FT)紙。さらに、中原真審議委員が同日の金沢市内の会見で「可能性を排除する必要はない」と述べたこ
とで、日銀による外債購入の思惑が一気に高まりつつある。

  今年6月に日銀政策委員会に加わった中原真委員にとって、初の地方出張 となったこの日の講演。異例
だったのは、事前に用意されていたテキストと若干ニュアンスが異なっていたことだ。執行部のチェックが入るこ
とを嫌ったわけではないだろうが、講演テキスト、実際の講演、会見の順に、危機感の度合いが 強まっていっ
た。

  「株や土地を買う、社債やCPをどんどん買うというのはそれぞれ副作用があり、そういったものを慎重に見
極めながら、今後の検討をしていくべきだろう。 もちろん、デフレスパイラルという大変厳しく、緊急の状況にな
ったときは、政府と日銀が共同して、連帯して、危機管理的な政策を取る必要がまったくないとは言えないと思
う。そういう危機を乗り切らなければならないときには、緊急に取るべき政策は当然考えていかなければならな
い」(講演)−−。

       発端となった翁金融研究所長の提言

  講演テキストでは「為替政策との関連で難しい問題がある」としか触れず、 実際の講演ではそれもはしょっ
た「外債購入」についても、会見では質問に答える形で言及。「当然ながら、調節手段として論理的にはあり得
る。特に、当座 預金との代替性が小さいという意味においては、国債(オペ)より調節の効果はあるかもしれな
い。外債を買うシナリオを排除する必要はまったくないと思っている」と踏み込んだ。

  そもそも、「調節手段の一環としての外債購入」は、日銀金融研究所の翁邦雄所長が今年7月半ば、ブル
ームバーグ・ニュースのインタビューで提言し、波紋を呼んだ選択肢。為替政策を統括する財務省が猛反発し
たこともあり、日銀は 表向き、翁提言を「学者の意見」として距離を置いてきたが、「心情的には共感できる」と
いった声は当時から根強かった。

  それが、21日公表された10月11、12日の金融政策決定会合の議事要旨で、 もう1人の中原(伸之)審議委
員が「通常業務の範囲内で外債購入が可能」と発 言していたことが判明。22日付の英紙フィナンシャル・タイ
ムズが大々的に1面で取り上げたのに続き、中原真委員がこの日の会見で前向きな発言をしたことで、日銀に
よる外債購入の可能性はがぜん、現実味を帯びてきたと言えそうだ。

     「外債購入」の蒸し返しは日銀の危機感の裏返し

  ただ、中原真委員自身が「調節で必要なら、日銀がぱっと買えばそれですむという問題ではなくて、財務省
との問題、あるいは外債を発行する外国政府の 国債管理政策などの問題があり、その辺について十分な詰め
が必要」(会見)と 認めるように、簡単に実現できる話ではない。何より、一段の景気下押し懸念が 根強い米国
が、そのようなオペを容認するかどうか疑問もある。「円安を許容するには、米国自身の景気回復が実現して
いる必要がある」(東短リサーチの加藤 出チーフエコノミスト)のは言うまでもないだろう。

  いずれにせよ、重要なのは、いったん消えかかった「外債購入」の可能性 を蒸し返さざるを得ないほど、日
銀の危機意識が強まっていることだ。中原真委員は会見で、デフレスパイラルの条件として、1)失業率や物
価などの経済指標が急速に悪化する、2)97、98年の金融危機と同様、急激な信用収縮が起こる− −という2
つの条件を挙げた。「まだそこまでは行っていない」としながらも、 中原真委員の言葉には危機感があふれてい
た。

  中原真委員は講演テキストで、現在の量的緩和について一定の評価を与えたが、他の多くの委員と同様、
一段の量的緩和に多くを期待してないのは明白だ。 長期国債買い入れについては「今後増やしていく考え方も
あり得る」(講演)と 述べたが、「発動のタイミングとしては、やはり国債市場がどういう心理状態にあるか、財政
の動きがどうかを慎重に判断しながら決めていく必要がある」(会見)と言明。どのような状況でも有効な手段と
いう位置付けではもちろんない。

     日銀が投げたボールに財務省がどう反応するか

  日銀のなかには“理論的”にはともかく“現実問題”として、外債購入に ついて慎重な見方が根強いが、「デ
フレを防ぐうえで、円安が最も有効な手段の1つ」という認識はある程度共有されている。10月11、12日の決定
会合では、 先行きの金融政策運営について、多くの委員は「仮に景気がスパイラル的に悪 化を示す場合、政
府との政策と合わせて何らかの方策を取り得る余地があるのか、といった観点から検討していくのが適当で
はないか」との考えを示した。

  今後は、米国政府の反応もさることながら、日銀から投げられたボールに対し、政府・財務省がどのような
反応を示すかが、1つの焦点となる。日銀が現実に外債購入まで踏み込まなくても、政府・日銀が「いざという
ときは、日銀の外債購入を含め、さまざまな手段を排除しない」という姿勢で足並みを揃えるだけで、“緩やか
な円安誘導”を行うことも不可能ではないだろう。近づいてきた危機にどのように対処するか、日本の政策当局
の真価が問われる日はそう遠くないかもしれない。

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