投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 22 日 18:47:31:
道路4公団の中でも「最優等生」とされてきた日本道路公団の財務体質が、極めて弱いことがわかった。改革には、道路公団の現状を正確に把
握する必要があるが、あらためて財務を点検すると、ずさんな数字を積み上げた「粉飾」のからくりが見えてくる。国土交通省などがめざす上下分離
方式は、こうした負の構図を温存する危険がある。
●多重計上
道路公団が公表した00年度決算をみると、公団が償還の責任をもつ「道路資産」は、約34兆円にのぼる。だが、実際には「水増し」が相当分、
含まれる。
一般の企業会計基準では、災害や事故で壊れたり老朽化して更新したりした設備は、必ず除却・償却して費用に計上し、資産から落とさなけれ
ばならない。
ところが、道路公団では、過去に建設したものはすべて資産に積み上げっぱなしにする独自の方式をとる。過去に交換した電光掲示板がそのま
ま何台も1カ所にぶらさがっていることが前提のような会計方式で、震災などで倒壊した道路も、再建した道路と一緒に「資産」に含まれてしまう。
今回の試算では、減価償却や除却分をできる限り厳しく算定して差し引いた結果、道路の資産は24兆7200億円に減った。借入金など負債は
変わらないので、資産が圧縮されれば剰余金は減り、実質的な資本体力はぐっと弱まる。
●延びる償還期間
道路公団の健全性をみる場合、建設にかかった費用をどのぐらいの期間で返済できるかが、重要な指標になる。道路公団は「償還準備金を積み
立てている」とするが、過大な需要予測と過小な事業費見積もりで道路計画を強行してきた結果、建設費が膨れ上がったり、開通しても収入が見
込みを下回る道路が続出したりしている。
例えば、第2東名と第2名神の計約400キロの当初事業費は、7兆2千億円だったが、昨年は8兆円、今年になると9兆5千億円に膨らんだ。東
京湾アクアラインは、98年度時点で交通量が前年に比べ16%も落ち込んだ。それでも公団側は、首都圏の道路網整備などを理由に、今後10年
で年率14%の伸びを見込んだ需要予測を掲げている。景気低迷や国内の労働力人口の減少を考えると、破たんした計画といっていい。
●元凶はプール制
こうしたいい加減な財務を許しているのが、「プール制」の存在だ。複数の路線を組み合わせて収益を管理する方式で、黒字路線の収益で赤字
路線の負債を隠す役割を果たしている。
プール制を採用した72年、高速道路の償還期間は30年と定められた。21世紀になれば、国内の高速道路は無料になるはずだった。だが、不
採算路線をつくり続けたため94年、旧建設省は償還期間を40年に延長。99年には最大50年まで延ばせるように変えてしまった。
道路の管理・運営と道路を建設・所有する組織を別々にする「上下分離」方式をとった場合、道路建設は国の関与が引き続き強いため、政治的な
配慮からこうしたシステムが残る可能性が高い。そうなれば、改革は形だけに終わり、国民負担の増加は免れない。
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初めまして、私は朝日新聞の愛読33年になります、福島県に住む1939年生まれの、無職の元地方公務員(土木技術職)です。 http://www5c.biglobe.ne.jp/~k-sato/ 社会正義の更なる追求と、その努力に敬意を表し、今後のますますのご発展を祈りします。 2002年7月24日 |