投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 22 日 11:21:38:
特殊法人改革の焦点になっている日本道路公団について、民間企業の会計基準を当てはめると、一般有料道路事業はすでに5000億円以上の債務超過状態に陥っていることが21日、政府関係者の試算でわかった。高速道路事業は現在、3000億円以上の当期利益が出ている計算だが、急速に採算が悪化している。このままだと公団全体でも3〜5年で当期赤字に転落する可能性が高く、民営化論議に影響を与えそうだ。
東京湾アクアラインなど一般有料道路は高速道路網を補完する形で建設されているもので、試算によると、道路資産は00年度末で3兆8900億円。一方、負債が4兆4000億円あり、5000億円強の債務超過状態になっている。単年度の収支は900億円近い当期赤字。需要が計画を大きく下回っている路線が多いためだ。
一方、高速道路事業は、東名や名神など長距離の幹線道路が対象だが、00年度末で3200億円の黒字。企業の財務余力を示す「剰余金」も1兆2600億円ある。しかし、高速道路も不採算路線が急増し、このままでは毎年数百億円ずつ利益が減る見通しだ。
今後も「第2東名」のように巨額を投じている道路建設の償却負担や金利上昇に伴う負担増などが見込まれており、数年以内に公団全体が赤字に転落する可能性が高い。
今回の試算は公表されているデータを使い、未公表の数値を将来も含め数年度にわたってできるだけ正確に推計した。公団が通常公表している財務諸表は、民間企業のものと大きく異なり、資産の減価償却や除却などの会計処理が行われていない。
公団自身も財政制度等審議会の求めに応じて今年9月、企業並み基準で00年度決算を公表し、4230億円の当期黒字になっているとしたが、今回の試算は減価償却に必要な金額などをより実態に近い形で計上したため、さらに厳しい内容になっている。
道路関係4公団の民営化を巡っては現在、石原伸晃行革相の私的諮問機関や国土交通省などから複数の改革案が出ており、新規道路の採算性や現在50年を上限としている借金の償還期間、民営化する際の経営形態などが焦点になっている。
今回の試算で、議論の前提となる道路公団の財務内容そのものの妥当性に疑問が生じた。国民負担を増やさない実質的な改革の論議を進めるには、建設中の道路をまず即時凍結し、資産や負債を徹底して洗い直すことが不可欠になりそうだ。(03:13)