投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 21 日 22:38:41:
金融庁が大手14行に対する「特別検査」に着手したのを受け、銀行関係者の間には「金融庁の真意」をめぐって見方が錯綜している。
「金融庁は本気だ。大口の過剰債務企業に対する債務者区分を、要注意先から要管理先へ、あるいは破綻懸念先へと、相次いで格下げし、引当金の大幅積み増しを迫るのではないか」(大手銀行幹部)と、ハードランディングシナリオを警戒する声が上がる一方で、「銀行への公的資金再注入はありえない。だから引当金を積み増すにしても、銀行が資本不足に陥らない範囲に収まるだろう」(別の大手銀行幹部)と、従来のソフトランディング(問題先送り)シナリオが続くとみる向きもある。
どちらのシナリオが選択されるかは、まさに小泉政権の政治決断にかかっているわけだが、現時点では後者の問題先送りシナリオを予想する声が多数派のようだ。
「問題企業の債務者区分を格下げし引当金の大幅な積み増しを断行すれば、銀行の資本不足が表面化し、公的資金の再注入が避けられない。しかし、そうなれば金融庁の責任問題が浮上し、柳沢伯夫・金融担当相の更迭は免れない。銀行の経営責任も今度こそは問われる。だから金融庁も金融業界も、公的資金は入れないという前提でしか動かない。小泉首相もその方向に傾いている」(金融アナリスト)
要するに、金融当局者や銀行経営者の保身への強い意志が、問題先送りシナリオ以外の選択を許さないという見方であり、金融庁がいくら”本気”を装っても、それはポーズにすぎないというわけだ。
そうした見方が的を射ているのかどうかは分からない。ただ、日本経済の癌である不良債権処理問題をめぐっては、財務省や銀行、問題企業経営者などが中心のソフトランディング派と、多少の返り血は覚悟して早期一括処理をすべしと主張するハードランディング派の「路線闘争」が、この10年あまり繰り返されてきたということはいえるだろう。