投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 11 日 13:35:47:
「来年4月に予定されている“ペイオフ解禁”までの段階で、金融庁がいくつかの地域金融機関を
処理しようとしていることは、まず間違いないだろう。そして注目すべきなのは、いわゆる“外資”がそ
うした地域金融機関の受け皿となるべく積極的に動いている、ということに他なりません」
大手都銀役員がこう言ってみせる。
もっとも、“外資”による日系金融機関の買収、と言ったところで、今となっては珍しくも何ともない
話、と言えるだろう。なぜ今頃になって、そのことを改めて注目しなければならないのだろうか。
「実は、富山市に本店を置く大手地銀、北陸銀行に対して、ある“外資”が買収話を持ち掛けたと言
うのです。その時“外資”が提示した買収金額は5000億円だった、と言われているのです…」(前述
の大手都銀役員)
この北陸銀行の営業エリアは、北陸3県全域に加えて北海道にまで達しており、その預金量も5兆
4000億円を誇る。同行はまさに地銀の雄、とでも言うべき存在だ。
その北陸銀行になぜ、買収話が持ち込まれたのであろうか。以下、順を追って説明する。
そもそも北陸銀行は、99年9月に公的資金を導入し、自己資本増強を行った銀行だ。そして、この
公的資金による自己資本増強策は、優先株発行という形で行われたのである。
「その北陸銀行が、2002年3月期決算において1170億円の赤字に転落することが確実となった
のです。そして、そうなった場合には当然のことながら、政府が保有する優先株も無配となり、その
優先株に議決権が発生し、“準国有化”という事態を招いてしまうのです」(大手都銀役員)
しかも北陸銀行の自己資本比率は、この赤字決算の結果、6.6%程度に低下してしまうことが予
想されるのである。
「北陸銀行のような国内専業銀行の場合、その自己資本比率は4%以上であればいいことになっ
ている。しかし、金融庁サイドは、そうした国内専業銀行でも、リスクバッファーも考慮に入れて、8%
以上の自己資本比率をキープすることが望ましい、としているのです」(大手地銀幹部)
このため北陸銀行では、200億円を超える第三者割当増資を実施し、自己資本比率を7%ないし
8%台に回復させる計画を立てていた。
そして北陸銀行としては、同行の筆頭株主であり、みずほグループの一角を占める富士銀行を大
口の増資引き受け先として想定していたのである。
「この件に関しては当初、富士銀行も前向きな姿勢を見せていたものの、みずほグループ自体が自
己資本増強に動かざるを得ない状況に追い込まれ、北陸銀行の要請に応じにくくなっているのが実
情なのです−−」(大手都銀役員)
ある意味で北陸銀行はピンチに立たされている、と言っていいだろう。
そして、そうした状況に“外資”が目を付けたのである。まさに“ハゲタカ”の本領発揮と言えるので
はないだろうか。
「しかし、現状では苦しい状況に追い込まれているとは言え、北陸銀行は北陸経済の中核に位置
する銀行だ。その北陸銀行が“外資”に買収され、新生銀行のような行動パターンをとられてしまって
は、北陸経済は大変なことになる。絶対に認められる話ではない」(前述の大手都銀役員)
さて、北陸銀行問題は、今後どのように展開するのか−−。