投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 21 日 17:03:30:
21日の東京外国為替市場では、ドル・円相場は午後に入って上昇し、1ドル=123円台を回復した。米格付け会社スタンダード・アンド・プア−ズ(S&P)による日本国債格下げの可能性が高まったとの報道をきっかけに円売り圧力が強まった。
時事通信は、米国格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の張(チャン・ユーツン)在日代表が、同社とのインタビューで「(日本国債の)格付けを引き下げる可能性が出てきた」と語ったと報じた。 なお、S&Pでは、この報道について「S&Pがこのようなコメントしたことはない」と否定している。
1ドル=122円70銭−80銭付近で推移していたドル・円相場は、国債の格下げ観測の報道に反応する格好で午後1時30分すぎに123円20銭付近まで上昇。その後にS&Pの否定コメントが出ると123円付近に戻したが、3時前後から対ユーロなど欧州通貨でドル買いが強まった影響を受けて、123円38銭の高値を付けた。
国債の格下げ観測が円売りにつながった背景としては、「このまま格下げが繰り返される状態が続けば、銀行が保有する日本国債に20%のリスクウェートがかかり、金融機関が自己資本を積み増さなければならならないという悪循環に陥る可能性がある」(BNPパリバ銀行外国為替部・野村雅道部長)との指摘が出ていた。 時事通信の報道によると、S&Pでは日本国債の格下げについて、1段階にとどまらない可能性も示唆しているという。S&Pによる日本の長期格付けは現在「AA+」。
この日は国債格下げの観測がこう着相場を破るきっかけとなったが、「国債市場の値動きみる限り、それほど動揺は感じられないようだ。シングルAまで格下げが続くとなると、相当なインパクトがあるだろうが、現時点では市場が織り込んでいる範囲内にとどまっているので、これを材料にした円売りは限定的だろう」(モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券・梅本徹為替ストラテジスト)との指摘も出ていた。
ユーロは軟調
ユーロは0.88ドル台付近へ小幅下落。ドイツの景況感の悪化が見込まれていることからややユーロ軟調な展開となっている。ドイツのIfo経済研究所は21日、10月の旧西ドイツ地域の景況感指数(1991年=100、季節調整済み)を発表する。ブルームバーグ・ニュースの事前調査では85.2と前月の85.0とほぼ同水準が見込まれており、景況感の低迷が持続していることを裏付けることになりそうだ。
ユーロについては前日、中国が外貨準備高に占めるユーロの比率を引き上げる方針を示したことを材料に一時ユーロの買い戻しが強まったが、「(ユーロ圏の)ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)が良くない。Ifoで悪い数字が出た場合はユーロが売られるだろう」(三和銀行資金証券為替部・栢本安夫バイスプレジデント)との見方が優勢だ。
東京時間午後3時30分現在 前日比 20日のニューヨーク終値
ドル・円 123.30 +.72 122.58 ユーロ・ドル 0.8808 −.0025 0.8833 ユーロ・円 108.58 +.30 108.28