投稿者 SANETOMI 日時 2001 年 11 月 21 日 16:54:59:
日本銀行は21日、10月11、12の両日開催した金融政策決定会合の議事要旨を公表した。それによると、「当座預金残高が6兆円を上回ることを目標として、潤沢な資金供給を行う」とする金融調節方針の議長案を、中原伸之委員を除く8委員の賛成多数で議決した。
大方の委員は、1)生産減少の影響が雇用・所得面にも広がっており、調整はさらに厳しさを増している、2)米国テロ事件を契機に先行き不透明感が一段と高まっている−−との認識を共有。さらに、金融市場では、流動性需要が振れやすい状況が続いていると指摘。日銀当座預金に固定的な目標値を定めて調整を行うと、金融市場の安定を損なうリスクが大きい、との見解を示した。
また多くの委員は、仮に景気がスパイラル的な悪化を示す場合、政府の政策と合わせて何らかの方策をとり得る余地があるのではないかとの観点から、検討していくのが適当と述べた。
一方、多くの委員が、国債金融市場でのリスク・プレミアム上昇がわが国の金融システム面に与える影響に言及した。何人かの委員は、邦銀に対する市場の見方は既に厳しくなっていると指摘。また多くの委員は、金融面での要因が実体経済のさらなる下押し圧力となり、景気悪化をスパイラル的なものとしていくリスクに十分注意が必要との見解を示した。
さらに多くの委員は、市場参加者が余剰資金の運用をあきらめて抱え込んでおり、資金の「量」と緩和効果との関係が崩れてきていると指摘。日銀がオーソドックスな手段を使い果たし、「流動性の供給」による対応の限界も8、9月の経験で一段と明らかになっているとの見解も示した。
物価安定の議論では、何人かの委員が、物価の継続的な下落について、インフレと同様に望ましくないのは当然と述べた。また多くの委員は、議論されるべきは「いかに物価下落に歯止めをかけるか」という手段の問題と指摘。何人かの委員は、インフレターゲティングについて、現時点で採用することは適当でないとの見解を示した。
内閣府の出席者からは、年が明けてしばらくしてから、国の根幹にかかる抜本的な制度改革を行わなければならず、一番大きな問題は税制であるとの考えを示した。内閣府の出席者は、竹中平蔵経済財政政策担当相と小林勇造政策統括官。