投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 21 日 03:43:51:
【ニューヨーク19日=坂本裕寿】ニューヨーク株式市場の株価が米同時テロのショックを吸収し、底堅く推移している。ナスダック店頭市場の総合指数に続いて、ダウ平均株価(工業株30種)も19日の終値で、テロ後に付けた直近の安値から20%以上の上昇となった。20日は、やや反落して始まったが、ウォール街では本格的な上昇局面入りを指摘する声も出始めた。だが、株価の堅調は、アフガニスタンへの軍事行動の進展による市場心理の改善や、景気回復への過大な期待が支えている面が強く、実態とかけ離れた面があるといった慎重論も根強い。
ダウ平均は19日、前日比109・47ドル高の9976・46ドルで終了、1万ドル台をうかがう水準に回復した。これでテロ後の9月21日につけた安値(8235・81ドル)より21%上昇したことになる。アメリカでは直近の安値から20%上昇すれば、本格的な上昇局面を意味する「ブル・マーケット(強気相場)」に転換したとされる。
最近の株価急騰は米軍事作戦が戦果を上げたことに加え、大型減税などを柱とする米政府の経済対策や米連邦準備制度理事会(FRB)が、今年に入って10回の利下げに踏み切るなど、財政・金融両面での景気テコ入れ策で経済が来年には回復に向かうとの期待感が加わっている。
しかし、10月の失業率が5・4%に跳ね上がり、10―12月期の米国内総生産(GDP)成長率がマイナスに落ち込むとの予想が一般的だ。現在の急騰は、テロ後に加速した株離れの反動で資金が株式市場に一時的に戻ったという現象に過ぎず、「長期的な調整局面の中で一時的に反発しているだけ。これで上昇局面に入ったと判断するのは時期尚早だ」(米投資運用会社)とする慎重論もある。