WTO:中国の加盟を正式承認 申請から15年目で実現 [毎日新聞11月11日]

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 11 日 05:25:37:

 【ドーハ(カタール)荒木功】世界貿易機関(WTO)の閣僚会議は2日目の10日夕(日本時間11日未明)、中国の加盟を全会一致で正式承認した。国内の批准手続きなどを経て、年内にも加盟手続きが終了する見通しで、143番目の加盟国・地域となる。中国は86年にWTOの前身のガット(関税貿易一般協定)に加盟申請したが、天安門事件などによる協議中断もあり、実現まで15年かかった。

 世界第7位の実質国内総生産(GDP)を持つ「超大国」中国のWTO参加で、世界経済の一体化と競争激化が進むのは確実で、自由貿易体制は新たな時代に入る。

 90年に加盟申請した台湾も11日に加盟が承認される見通し。中国が台湾より早い加盟実現を強く要望したことに配慮して、台湾は中国より1日遅れとなった。

 中国の加盟条件は、WTO作業部会で9月までに合意し、中国は(1)工業製品の関税を平均16・6%から2010年までに8・9%に引き下げる(2)農業の国内助成金の上限を生産総額の8・5%とする(3)加盟後12年間の経過措置として中国からの輸入急増に対する対中特別セーフガード(緊急輸入制限)を創設する――などの厳しい制約を受け入れた。

 中国は今後、途上国の代表勢力として、米国や欧州連合(EU)に匹敵する影響力をWTO内で行使することが確実だ。一方で、自国産業の保護を優先する政策は大きな見直しを迫られる。13億の人口を抱える「最後の巨大成長市場」には、規制緩和を受けて海外メーカーなどの進出が加速、諸外国の「圧力」の中で産業の再編や淘汰(とうた)が始まるとみられる。

 加盟承認後、中国代表の石公生・対外貿易経済協力相は「中国の加盟は中国だけでなく、WTO加盟国全体の利益につながる。新ラウンドはあくまで途上国の利益を反映したものになることが条件だ」と演説した。

     ◇    ◇

 【ドーハ福本容子】急成長し経済的な影響力を増しつつある中国が、世界貿易機関(WTO)加盟で共通ルールの枠組みに入る意義は、人口13億人の巨大市場がもたらす直接的な経済効果にとどまらない。ルールが通用する地域の拡大で、平和や安定も拡大する一方、新たな“核”となる勢力の登場は、複雑化する多国間交渉をますます困難にしかねない。“巨大”な新メンバーを迎えるWTOには期待と警戒が交錯している。

 中国と取り引きする外国企業は、中央と地方行政府で認可内容が違ったり、担当者次第で方針が変わる同国特有の事情に悩まされ続けてきた。明確なルールがないことが最大の理由だった。

 WTO加盟は、透明なルールの導入と実行を中国に迫ることになり、日本や欧米企業もこの点を最も歓迎している。

 ルール重視の国内改革の進展は、海外からの直接投資を加速させ、技術力の向上、輸出の増大、一段の経済発展につながる。競争相手としての脅威も増すが、かつて中国との通商交渉を進めたバシェフスキー元米通商代表部(USTR)代表はこのほど「加盟が促進する中国の発展は世界の平和にも貢献する」との投書を米紙に寄せた。

 しかし、中国国内には依然、改革への根強い抵抗があり、WTOルールをゆがめるおそれもある。ドーハを訪問中の通商問題に詳しい米国の弁護士は「中国はWTOへの影響力増大を狙っており、既存加盟国との対立が鮮明になるだろう」と楽観ムードに釘を刺す。

 中国加盟を有意義なものにするには、米国の反ダンピング措置乱用などで揺らいでいるWTOへの信頼を回復する必要がある。新ラウンド(多角的貿易交渉)スタートでで合意し、WTO制度を強化することが重要だ。

<中国のWTO加盟への経緯>

86年 7月 中国がガット(関税貿易一般協定)加盟申請(「ガット締約国としての地位回復」を求める形)。翌87年、加盟作業部会設置

89年 6月 天安門事件

95年12月 旧ガット失効に伴い、WTO加盟を新たに申請

97年 9月 日中2国間で物品の市場アクセスについて合意

   10月 江沢民国家主席が元首として12年ぶりに公式訪米

98年 6月 クリントン米大統領(当時)が公式訪中

99年 7月 日中2国間でサービスについて合意、2国間交渉妥結

   11月 米中2国間交渉合意

00年 5月 中EU(欧州連合)間交渉合意

   10月 米国が中国に対する恒久的最恵国待遇付与法を成立

01年 7月 WTO加盟作業部会で、加盟文書についてほぼ合意

    7月 08年夏季五輪開催地が北京に決定

   11月 WTO閣僚会議で加盟を正式承認



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