倒産危機を未然に察知する〜13のチェック項目〜10点以上で要注意、破綻企業から学ぶ危ない兆候(ウエッジ11月号)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 20 日 12:10:42:

9月14日、大手スーパーのマイカルが民事再生法を申請した。
バブル期のなりふりかまわぬ拡大戦略と高級路線がたたって、1兆円を超す連結有利子負債を抱えての破綻だった。
倒れるべくして倒れた――。
そう突き放して見ることはたやすい。
だが、大手企業が次々と倒産する状況は、決して他人事ではなくなっている。

●大倒産時代を乗り切るには 破綻企業から学ぶしかない

大手企業が次々と倒産する背景には、銀行経営が窮地に追い込まれ、融資先の面倒を見る余裕がなくなっていることがある。キーワードは「特別検査」だ。大手銀行の要注意先債権の引き当ての実態を検査して、問題とみれば積み増しを迫るというもの。危ないと噂される企業は、次々と法的処理に追い込まれる可能性が出てきたというわけだ。
来年1月からスタートするとみられるこの検査によって、企業の破綻はおそらく急増するだろう。「ウチは要注意先ではない」と高をくくっていてはいけない。企業破綻は連鎖する。それも、大企業が倒れれば、その突風で次々とドミノ倒しのごとく破綻企業が出てくることが予想されるのだ。
もう一つ懸念されるのは、銀行が要注意先の企業に厳しい姿勢をとれば、その対象外である企業を見る目も厳しくなってくるということだ。
ただでさえ企業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。東京商工リサーチによると、倒産件数は1999年の1万5352件から、2000年には1万8769件へと2割以上も増加している。今年も、ほぼ昨年と同じペースで倒産が続いているのだ。そこに、特別検査によって資金供給のパイプが細り、さらに米国の同時多発テロによって世界景気に暗雲が漂う。企業にとっては、かつてないアゲンストの風が吹き荒れそうなのだ。
では、そんな「大倒産時代」を、いかに乗り切ればいいのか。
「危機を乗り切るには、厳しい経営状況をくぐり抜けた体験がものをいう。国や銀行に守られてきた日本企業は、こうしたリスクが多い時代に弱い」と危機管理コンサルタントは話す。確かに、昨年6月に食中毒事件を起こして経営危機に陥った雪印乳業は、その後、新社長の下でリスクに敏感な企業体質に変貌を遂げつつある。危機を体験しなければ、なかなかリスク対応力は身に付かないというわけだ。だが、銀行融資が先細りで、株式市場が低空飛行を続けているご時世に、ちょっとした危機が訪れても破綻へと転がり落ちる危険は高い。危ない橋を渡りながら、学んでいるなどという余裕はない。
それでは、どうしたらいいのか。
「危機に陥った企業のケーススタディーから、疑似体験するしかない」(危機管理コンサルタント)
そこで、ここ数年破綻した企業の倒産への過程を検証しながら、その問題点を探ってみた。危機に陥る兆候を未然に察知して対策を打っていけば、破綻リスクはかなり低くすることができるからだ。
そこで、「破綻危険度チェックリスト」を見てほしい。ここ数年の破綻企業のケーススタディーから抽出した、危ない兆候の一覧だ。大きくは、経営者や従業員の問題(内部リスク)と、取引先や金融機関などの問題(外部リスク)に大別できる。マイカルのケースでも見て取れるように、最近では外部リスクによる倒産も増加してきている。そこで、外部リスクに注意を払うために、総合評価をする際には内部リスクよりもウエートを高めている。
変化の激しい国際競争時代 現場軽視が経営判断を狂わす
内部リスクでは、トップの資質、経営手腕が大きく問われるところだ。特に、経営が「情実」で決まるような家族経営を続けているとその弊害は大きい。
97年1月に会社更生法を申請した外食チェーンの京樽では、創業者の娘婿である田中博社長時代に、米国にステーキハウスを展開するなどの拡大路線でつまずいた。さらに、田中氏の実兄がグループ会社で財テクに走って失敗する。こうした責任をとって社長を辞任した田中氏だが、後任社長は石川島播磨重工業出身の幼なじみだった。こうした情実人事がまかり通ったことで、社内の士気が低下して破綻につながっていった。
経営陣をイエスマンで固めて、ワンマン経営に走る。そんな高度成長時代の遺物のような日本的経営では、21世紀には通用しない。この典型的な事例は、そごうの水島廣雄元会長だろう。また、98年10月に一時国有化されて破綻した日本長期信用銀行(長銀)もその一つに挙げられる。
長銀は杉浦敏介氏が20年にわたって頭取、会長として君臨した。その間に、経営陣は杉浦カラーに馴染まない人材がパージ(追放)されていった。長銀経営陣は「仲良しクラブ」と呼ばれ、90年代に入って経営が傾き始めても、改革が進まなかった。すると、幹部クラスはもちろん、末端の行員まで「ぬるま湯」につかっていく。
98年、こうした状況を憂い、人事制度改革などを唱える常務が突然退社してしまう。数少ない「改革派」が抜けたことで、長銀は再建への道を見失い、あっという間に坂道を転げ落ちてしまった。
「会社が苦しくなってから、社員とのコミュニケーションが薄れていた。それに議論もマイナスの議論ばかりになってしまった」。97年12月に自己破産したハイパーネット元社長の板倉雄一郎氏は振り返る。現場との距離を置くことは経営判断を狂わせる。
98年8月に自己破産を申請して125年の歴史に幕を閉じた大倉商事。その引き金となった大手鉄鋼メーカーとの取引停止は、現場の声を無視した結果だった。常務会で決まったメーカーへの支払いの繰り延べ要請を、現場は「そんなことをしたら取引停止になる」とつっぱねようとした。だが、経営陣は、こうした現場の声にもかかわらず強行させて、致命傷を負うことになった。
現場軽視は社員の士気低下を招き、会社の足腰を弱らせる。98年に自主廃業した山一証券は、業績悪化の過程でリストラ策を打ち続けたが、「現場に厳しく、役員に甘かった」(山一元社員)という。現場には爪に火をともすようなコスト削減を求めながら、経営陣は最後まで個室、秘書、クルマ付きだったという。営業店などの現場がやる気を失い、山一は足元から崩れていったわけだ。

●銀行融資に影響もたらす 資本市場への対応も怠れない

経営者や会社内部もさることながら、最近になってカネという企業の血液を流し込む金融機関の問題で破綻していく企業も少なくない。
「間接金融に頼る経営はやめた方がいい」。91年に会社更生法を申請したマルコーの元幹部は、メーンバンクの三菱信託銀行による銀行管理を経て破綻した苦い経験を振り返る。「破綻すれば、銀行は個人資産まですべて持っていく。丸裸にしないと気が済まないようだ」と憤懣やるかたない。この幹部は「経営が厳しい銀行ほど、取り立ても厳しい」と話す。
また、弱い銀行との取引に偏っていると、突然の危機に直面することもある。北海道拓殖銀行が破綻した後、多くの債権が整理回収銀行に引き継がれた。そうなってしまうと新規の融資もなくなり、債務を回収されるばかりになってしまう。こうして、多くの企業が命脈を絶たれた。どの銀行と付き合うか。また、間接金融に頼らない資金調達法はないか。そうした視点で常に金融機関対策を打っておく必要がある。
取引先の状況も、常日頃から注意するべきだ。経営状況を見て、破綻する危険をウオッチすることはもちろんのこと、取引先の企業戦略にも常に目を光らせる必要がある。というのも、例えば大口取引先が工場を海外に移して、いきなり取引がなくなるというようなことも考えられるからだ。国境に関係なく世界で調達、生産、販売が行われる時代になっている。
また、グローバル化する経営環境で、海外から強敵が上陸することも考えておかねばならないだろう。特に、長らく国際競争にさらされていなかった金融や流通が、今、外資の攻勢にあって苦しんでいる様が象徴している。建設業も含めて、もはや聖域はないと思っていた方がいい。
そして、上場企業は資本市場への対策も怠れない。山一証券や北海道拓殖銀行の破綻にはじまり、市場から退場命令を突きつけられる企業が後を絶たない。マイカルも、6月に社債が「シングルBプラス」と、投資不適格水準の中でもかなり低い評価にまで下げられた。株価は100円を割れて、資本市場から見放された状況に陥っていた。
市場の低評価は、これからの銀行融資に大きな影響すら与える。冒頭に触れた特別検査が実施されてくれば、市場の評価と銀行の査定の格差が大きくクローズアップされてくるとみられる。そうなれば、金融当局から「早期の法的処理」を迫られる可能性が高いのだ。
もちろん、市場の評価を高める即効薬などはない。だが、少なくともディスクローズ(情報開示)体制を整備して、透明性を確保することで、市場から不信感を抱かれないことが重要だろう。実態よりも低い評価を受けて破綻することは、株主や社員、取引先などステークホルダー(企業の利害関係者)への背任行為になるからだ。
これからも破綻企業は次々と出てくる。そうした企業の軌跡を見れば、新しい問題点が見えてくるかもしれない。そこで学んだ点を一つ一つ潰していくことが、高リスク時代に破綻を避けるもっとも有効な手段だろう。

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