大手銀行の一部が「法定準備金」の取り崩しを検討〔朝日新聞〕

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 20 日 11:51:00:

大手銀行の一部が、不良債権処理や配当の原資を確保する目的で初めて、自己資本の一部である法定準備金を取り崩す方向で検討に入った。大手14行の02年3月期の不良債権処理額が急増、当初予想額の3倍程度の5兆〜6兆円にのぼり、貸出先の経営悪化や金融庁の特別検査を織り込んで貸し倒れ引当金を増額するためだ。銀行の経営が自己資本に手をつけざるをえない段階まで悪化している。
4大金融グループの不良債権処理額は、第一勧業、富士、日本興業3行でつくるみずほグループが2兆円規模(今年度当初予定5千億円)、三和、東海、東洋信託3行でつくるUFJグループが1兆数千億円(同3千億円)にのぼる見通しだ。三菱東京グループも微増して5千億円規模(同4千億円)となるほか、三井住友銀行も当初の4千億円からの上積みを検討している。あさひ、中央三井信託などの各行も、不良債権処理額が当初予想より増加する方向。最終赤字になる銀行が相次ぐ可能性が出ている。
貸し倒れ引当金が増大するのは、大口の借り手の状況を洗い直すための金融庁の特別検査が始まった影響が大きい。今月22日から始まる01年9月中間決算の発表で、検査を踏まえた見通しを示すことが市場から求められている。
各行がこれまで不良債権の処理や配当の原資に充てていた株式の含み益は、株価下落で枯渇している。このため、利益に加え、リストラで経費を削ったり、合併で生まれる差益を充てたりして原資をねん出する考えだが、一部銀行はそれでも不足すると見られ、法定準備金の活用を検討することになった。
法定準備金は、一定の条件で取り崩し、不良債権処理や配当の原資として使うことができるが、資金ねん出の手段としては異例だ。東京三菱を除き公的資金の注入で国が優先株を保有しており、配当がなければ国に議決権が生まれ、「準国有化」という事態になる。配当を維持するのは、こうした事態を避ける狙いもある。
取り崩しには臨時株主総会の特別決議が必要で、年明けにも手続きを実施する運びになる。

<法定準備金>

多額の損失処理が必要な場合などに備え商法で積み立てるよう義務づけられている自己資本の一部。貸借対照表(バランスシート)では資本の部に計上され、毎期の利益の一部をあてる利益準備金と、株主出資額の一部を積み立てる資本準備金から成る。銀行法は資本金の同額まで積み立てることを求めており、それを上回る部分については取り崩しが認められている。一般企業は資本金の4分の1まで積み立てればよく、銀行に対する規制は厳しい。(08:40)

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