分析「日本の政治を読む」〜壮絶な権力闘争に入った特殊法人改革[PAXNet] 2001/11/19 09:18:00

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 19 日 09:28:59:

【今週の主な政治日程】

▼11月20日(火)アフガン復興支援高級事務レベル協議(ワシントン)、自衛隊派遣実施要綱作成

▼21日(水)党首討論、日中外務次官級協議(北京)

▼22日(木)自衛隊実施要綱の国会付議

【政局の焦点】

●12月以降は「政変」の危険水域

小泉内閣の看板である特殊法人改革とその象徴的存在となっている高速道路整備計画の見直しについて、自民党内に小泉純一郎首相に対する批判や「反小泉改革」を標榜する議員連盟旗揚げが相次いでいる。異常なまでの支持率の高さにこれまで発言を封じられてきた同党内だが、2002年度予算編成を前にして「道路は地方(や議員)にとって生命線」(松岡利勝氏)とばかりに一気に小泉批判が噴き出した形だ。これはもはや予算獲得に向けたデモンストレーションといった域を越え、構造改革を推進する小泉首相を認めるかどうか、生きるか死ぬかの政治家同士の壮絶な権力闘争に突入したと見るべきだろう。
従って、権力闘争ならどちらかが勝つか負けるかまで決着しない。自民党内がどうしても改革に抵抗する場合、首相としては衆院解散に打って出て、抵抗勢力かどうかあぶり出した上で、総選挙を断行することは十分想定される。逆に抵抗勢力が首相を追い詰め、内閣総辞職〜首相交代を迫るという反転攻勢も想定される。その「政変」の可能性は12月以降危険水域に入る。

●抵抗勢力が「反小泉」で一斉蜂(ほう)起

首相は18日、内閣主催のタウンミーティングに初めて出席し、高速道路整備計画について2002年度から国費投入を止めるとともに、日本道路公団など4公団を一本化して民営化する方針を明示した。毎年3000億円の国からの補助金が打ち切られれば、整備計画のうち残る約2400キロメートルの建設に大きな影響が出るのは確実。
既に自民党道路調査会長の古賀誠前幹事長が「建設凍結は絶対に認められない」と、絶対反対を表明。さらに首相が住宅金融公庫廃止の方針を突然明らかにしたことについても「首相は独裁の大統領じゃない」(野呂田芳成党住宅土地調査会長)と、反対意見を山崎拓幹事長に申し入れた。
また、これまで公の席での小泉批判を控えていた橋本龍太郎元首相も派閥の総会で「個々の政策はリンケージしている。それを考えずに一点豪華主義の仕事をすると、華やかに見えても必ず傷を負う」と、強い不快感を示した。
江藤・亀井派と橋本派が中心となって発足した「反小泉改革」を旗印にした「未来創造議連」には本人36人が出席。このほか同党内には「道路問題を考える会」や「第2東名建設促進議連」が結成されるなど、いわば反小泉勢力の一斉蜂起といった観がある。

●首相は政策の積み上げ方式に不満

「未来創造議連」のメンバーを見ても分かるように、もともと抵抗勢力といわれた江藤・亀井、橋本両派はもちろんのこと、本来、小泉首相の足元である森派をはじめ、加藤派を除く各派が参加しているのが特徴。特に江藤・亀井派は実質的なオーナーである亀井静香前政調会長が、小泉政権誕生に際して交わした政策協定が全く履行されていないとの思いが強く、また橋本派にも100人を超す党内最大派閥でありながら、党3役人事からもはずされ、閣僚数も少ないとの不満がうっ積している。古賀氏が「総理のリーダーシップといっても、議院内閣制が守られなくては困る」と述べるように、彼らには、党から積み上げる従来の政策決定手順を首相が全く無視し、何でもトップダウンで決定するとの不満がその背景にある。
しかし小泉首相にしてみれば、逆に、こうしたボトムアップ方式では何も物事が進まないため、「私は自民党を変えるということで総裁になったはず」と、抵抗勢力への不信感は増すばかりだ?

●民主は首相に秋波、公明は突き放す

今後の政局の行方を正確に見通すことなどもちろん不可能だが、公明、民主両党の動きには十分注意を払う必要がある。民主党の菅直人幹事長は先週、ある会合で「小泉首相を支える。衆院解散後の首班指名選挙では小泉に投票する」ことを言明したと言われる。これに呼応するかのように、同党幹部からは首相の道路公団や住宅公団などの「廃止・民営化」路線に賛成する意見が相次ぎ、自民党内の抵抗勢力と好対照をみせている。テロ対策特別措置法をめぐる法案修正問題でも民主党は小泉首相と歩調を合わせており、それがまた橋本派や公明党の大きな反発を買う大きな原因ともなっている。
一方、公明党は現在、与党の一員でありながら、小泉首相からすげなくされていることに不満を強めている。最大の支持母体の創価学会からも「小泉首相の政権基盤は極めてぜい弱。自公連立を解消するのが早いか、それとも小泉内閣が潰れるのが早いか」と突き放した見方が出ている。こうしたことから、首相が公明党を切り捨てて、直ちに民主党と連立を組むーというほど政局は単純ではないが、そうした地下水脈が現実に脈々と流れているのを見逃してはならない。

●来年度の「国債30兆円枠」堅持に早くも赤信号

2001年度補正予算が成立したのを受け、早くも第2次補正が話題に上っている。小泉首相や塩川正十郎財務相は「全く考えていない」と全面否定するが、第1次補正が国債発行枠30兆円にこだわり、3兆円弱の小型にとどまったため、「雇用対策としては不十分」との指摘も出ている。そもそも「30兆円枠」は02年度から適用されるはずだったが、首相が思わず口を滑らして今年度からとなったいきさつがある。しかも02年度一般会計の税収も当初見込みを2兆8000億円も下回る見通しとなるなど、来年度の30兆円枠達成は早くも赤信号が点滅している。
閣僚の中からも「何も手を打たなければ。経済が持続的かつ加速的に悪く懸念がある」(竹中平蔵経済財政担当相)と、本格的な景気対策を求める声が上がっている。与党内からは「首相が公約した時点と今の時点では全体の流れが変わっている」(青木幹雄参院自民党幹事長)と、首相は公約にこだわるべきではないとの意見が強まる一方、「一番上の人が頑固だから、何もできない」(保守党首脳)と、決して動こうとしない首相への批判まで飛び出している。

●YKK会談で2次補正の可能性高まる?

第2次補正を02年度当初予算と一体として考える「15カ月予算」とするなら、来年度予算の財務省原案が決まる12月20日ごろまでに同時に決定し、年明けの通常国会冒頭で処理する必要がある。財源には特殊法人改革で出た利益を償還財源とする「小泉ボンド(国債)」発行などの案も浮上しているが、いずれにせよ首相の決断待ち。首相は12月7日に予定される7〜9月期の国内総生産(GDP)統計を見て判断するとの見方もあるが、「それでは手遅れ」との声もあるなど、首相にとっては特殊法人改革と並んで大きな政治決断を求められている。
こうした情勢を受け、小泉首相は18日、山崎拓、加藤紘一両氏とYKK会談を行った。この席で両氏は「税収見積もりが当初の見積もりと異なってきており、30兆円枠にこだわることはない」(加藤氏)、「YKKで改革は支えるが、マイナス成長にさせるべきではない」(山崎氏)と、いずれも2次補正の必要性を説いており、首相も聞く姿勢をみせたという。首相はこれまでも、判断に相当迷った時は両氏に意見を聞いており、首相が2次補正に踏み込む可能性は高まったとも言える。
(政治アナリスト 北 光一)

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