投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 19 日 09:22:02:
大手銀行14行の02年3月期の不良債権処理損失が5−6兆円に達し、今年度当初計画の3倍程度に膨らむ見通しとなった。貸し出し先の経営悪化に対応して貸倒れ引当金を大幅に積み増すためだ。例えば、みずほHDは、期初5000億円、8月の金融庁の通常検査を受けて1兆円程度、そして、特別検査前に1.8兆円程度と既に一部報じられていることから、引当積み増しによる損失拡大は市場では織り込み済みとみておきたい。当面は、引当済み企業の実際の破綻や大リストラの実行等の有無が銀行株のトレンドを転換させ得る唯一の材料となろう。
ところで、三井生命が損保子会社を三井住友火災に来年中に譲渡する方針を固めたと一部報じられた。また、三井生命は財務基盤充実のため基金の増額を検討している模様だ。三井生命は人員削減の拡大を検討した上で、三井住友銀行等三井住友グループ有力企業に資金拠出を要請するという。今後は、この動きが大手銀行に広がる可能性があるが、まずは、資金を拠出する投資家に対して「大リストラ」等のお土産が出ることになろう。
それにしても、週末に安田信託が一時額面を割り込み49円をつけたことに関して、同行の広報室が「株価についてのコメントはない」としたことには仰け反った。普通の感覚なら、「株主に対しご迷惑をかけて大変申し訳ない。市場に評価していただけるよう、鋭意努力中です。」といった主旨のコメントになるのではなかろうか。なんだか、“これから良くなる。株価を上げるよう努力してくれる。”と信じて投資をしている人や企業が気の毒に見えてくる。
とは言え、大手銀行株はここまでの下落で信用売りを相当溜めており、今後、市場の期待する材料さえ出てくれば大相場となるエネルギーが蓄積されていることも事実である。その反転のきっかけは、おそらく市場関係者、投資家にとって非常に分り易い大きなイベントとなると予想する。山一の破綻、長銀、日債銀の破綻と公的資金注入等のような。そのようなきっかけが出現した場合、思い切って市場に資金を投じることが出来るように緊張感を持って市場を見守るタイミングと考える。