投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 18 日 10:38:19:
金融庁は、金融機関が検査に非協力な態度をとった場合、必ず改善策の提出を求め、改善がみられない場合は行政処分を検討することを決めた。これまでは、刑事告発に踏み切るほど悪質でなければ、事実上問題にしてこなかったが、今年に入り、悪質な検査忌避が相次いで発覚したため、厳しい姿勢で臨むよう方針を転換した。
金融庁は、検査に当たり、金融機関が書類の改ざんや、虚偽の回答などの検査忌避をした場合、悪質と判断すれば、銀行法(信用金庫、信用組合は協同組合による金融事業に関する法律)などに違反(検査忌避)した疑いで刑事告発することにしている。
だが、実際には、(1)検査の結果に与えた影響の度合い(2)組織ぐるみかどうか(3)繰り返しているか、などを吟味すると、検査中に告発に至るまでの十分な証拠をつかむのも難しいため、破たんした後のケースを除くと、刑事告発は99年に旧金融監督庁がクレディ・スイス・ファイナンシャル・プロダクツ銀行の検査忌避行為を発見して告発した例しかない。
さらに、告発には至らない非協力行為は、ほとんどの場合不問にされてきた。電子メールを保存するよう求めたのに消したり、提示や作成を求めた資料をなかなか用意しなかったり、検査官の質問に「わからない」「忘れた」などと繰り返したりした場合でも、処分は難しかった。
金融庁は今回、こうした「非協力事案」があれば、かならず検査結果通知書にその内容を書き込むことにした。これをもとに改善策を1カ月以内に出すよう求め、改善がみられない場合は銀行法26条などに基づき業務改善命令を出す。繰り返し非協力だった場合は、業務停止命令を出すことも検討する。
金融庁は、旧大蔵省時代の過度な行政介入が金融機関のリスク管理能力の向上を妨げてきたとの反省から、98年に金融監督庁として発足して以来、明確なルールに基づく事後監視型の行政手法を採用しているが、金融機関の検査に対する協力が前提になる。
しかし、今年に入り、国際証券の法令順守部門の責任者が検査官にうその回答をしていたことが発覚。破たんした朝銀東京信用組合などが、融資額や返済状況をまとめた書類を提出しなかったり、「もう返済された」とうその説明をしたりしていたことが相次いで分かった。このため、金融庁は、検査の実効性を確保するうえでも、金融機関に検査忌避をさせない手だてが必要と判断した。(08:32)