「2次補正編成」か「30兆円枠死守」か−選択迫られる財務相の苦悩 東京 11月16日(ブルームバーグ)

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 16 日 21:20:37:

 雇用対策や中小企業対策などを柱とし た3兆円規模の2001年度補正予
算案が16日午前の参院本会議で可決、成立し た。塩川正十郎財務相は「十分なものではないが、現在の財
政の状況のなかでできることはやった」とその成果を訴える。しかし、与党だけでなく閣内から も「2次補正」の
必要性を訴える声が噴き出し始めた。「2次補正編成」か、2001 年度の新規国債発行額「30兆円枠死守」か。
財務相は、息つく間もなく究極の 選択を迫られることになりそうだ。

財務相のグチ

「30兆円枠を堅持しなければ雪崩を打って小泉政権の崩壊につながる」。30 兆円枠の堅持を政権の「生命線」
と打ち上げ、旗振り役を担う財務相だが、与党内だけでなく、地元・大阪の経済界からも突き上げをくらい、グ
チが増えた のも事実。「国債発行30兆円枠の堅持は(地元でも)全然評判が悪い。家内に も『いつまでそんな
こと言うてんねん、人気悪いのに』と言われる」と、こぼしたほどだ。

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が15日まとめた2002年度予算編 成に向けた建議では、30兆円枠の
堅持を求めるとともに、「需要追加を中心とし た政策からの決別」を明確にした。16日午前の会見で、財務相
は「財政審の建議は国民の声だ」とする一方で、「政治家の方には選挙がある。後援会を中心とした有権者
と国民の意識が違うことを感じる」と述べ、永田町からの”圧力” をちらりとのぞかせた。

小泉純一郎首相も16日、「2次補正は考えていない」との考えを明らかに した。しかし、経済の先行きに光は見
えない。過去最悪の失業率や鉱工業生産 の悪化など、深刻な数字が相次ぐなか、政府は今年度の政府経済
見通しの実質 経済成長率をプラス1.7%成長からマイナス0.9%に下方修正を余儀なくされた。 12月初旬に明
らかになる7−9月期の国内総生産(GDP)の結果が、財政政 策転換の「分水嶺」になるとの見方もある。

「15カ月予算論」が台頭

景気後退による企業収益の悪化は法人税を中心とした税収減に導く。財務 省は2001年度の税収見通しを当
初の50兆7000億円から1兆1000億円減の49 兆6000億円に修正。来年度は、さらに定額郵便貯金の満期によ
る利子税収入が 2兆円減るとの厳しい見方をしている。景気動向によっては、法人税収の大幅減によるさら
なる減収も否定できない。

小泉政権が公約した2002年度の「30兆円枠」の実現が困難となることに危機感を募らせる竹中平蔵・経済財
政政策担当相は、現在の経済状況を「デフレスパイラル(物価下落と景気悪化による悪循環)の入り口」とし
たうえで、「テロ後の流動的な経済状況に応じた政策対応を考えたい」と強調。2次補正編成も含めた景気対
策の必要性を強く訴えている。

そこで、「次なる手」として急浮上しているのが、「15カ月予算」だ。経済財政諮問会議議員の本間正明大阪大
教授が、「15カ月予算的な発想も必要」と指摘。来年1−3月に執行する2次補正と来年度予算を一貫して編
成し、切れ目なく事業量を確保することで、来年度の30兆円枠の死守を何とか導きだそうという苦肉の策だ。

公共事業追加は「もはや手遅れ」

財務省内では新たに公共事業中心の2次補正を編成しても「もはや手遅れ」 との見方もある。公共事業の効
果が出るには時間がかかる。「15カ月予算を組むのなら早々に方針を決め、今すぐにでも作業に取り掛から
なければ間に合わない」というのが本音。主計局も財務相と与党の間で板挟みになり、硬直状態に陥ってい
るのが現状だ。

省内では、「橋本構造改革の末期に酷似している」という声が出始めている。 橋本竜太郎政権は97年のアジ
ア金融危機によって世界経済が混沌とするなか、 経済財政構造改革を推し進め、同年11月、2003年度まで
の財政健全化を盛り込んだ財政構造改革法を成立させた。一方、時期を同じくして、規制緩和や土地流動
性を主軸にした緊急経済対策を打った後、成立から1カ月もしないうちに 2兆円規模の特別減税の実施を表
明する事態に追い込まれた。

財務相は、「入るを量りて出ずるを制す」との「方針」を掲げ、歳入に見合った予算を組むべきだと主張。NTT
株など国有財産の売却による税外収入の確保のほか、規制緩和など追加的財政支出を伴わない景気対策
を模索しているかのように見える。しかし、「第1次」補正予算が成立したの機に、景気対策を求める声が一
斉に高まるのは必至だ。財務相が、「盾」としてどこまで立ちはだ かることができるのか。その攻防は、小泉政
権の命運を左右しかねない。

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