投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 15 日 19:15:13:
スタンダード&プアーズ(S&P)は、大手邦銀の不良債権問題の再燃で、政府が介入を迫られる可能性が強まっている、との見解を示した。
S&Pは、日本の大手銀行で不良債権問題が再び悪化していることから、政府が銀行システムへ介入せざるを得なくなる可能性が高まっている、と指摘。その上で、1999年3月と同様の枠組みで優先資本を銀行に注入する手法では、銀行が抱える根本的な問題の解決にはならない、と主張している。
また、日本の銀行業界が抱える問題は、単に資本がぜい弱だということだけではなく、金融機関のぜい弱な収益力、貸し出しでの規律の欠如、国内事業会社部門のぜい弱さなどに深く根差していると分析。格付け評価では、問題を抱えた銀行への政府の介入の姿勢がより重要な要因になりつつあるという。
S&Pは、政府が銀行システムへ介入する可能性を強めている要因として、1)大手行が2001年度に計上する不良債権処理費用は9年連続で業務純益を上回る可能性が高く、銀行の自己資本をさらにき損しそうである、2)配当可能利益が減少しているため、一部の銀行が政府への配当金支払いを繰り延べざるを得なくなり、自動的に政府に議決権が生じる可能性が高まっている、3)大手邦銀が十分な自己資本、特に普通資本を民間から調達することは中期的に困難であろう−−などを挙げている。
S&Pは、大手邦銀の格上げには、市場環境の根本的な変化と、より厳格な貸出慣行の実現が必要だとしている。銀行の経営陣がリスクに見合った貸出プレミアムの確保に向けて、より強くコミットすることも欠かせない、としている。