投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 14 日 21:03:34:
竹中経済財政担当相が経済関係閣僚会議で報告した11月月例経済報告は、基調判断を「景気は一段と悪化している」とし、3カ月ぶりに下方修正した。項目別では、個人消費を5カ月ぶりに下方修正したほか、雇用も下方修正した。先行きについても、米テロ事件などの影響で世界経済が同時的に減速するなど懸念が強まっているとして、さらに慎重な表現となった。
11月月例経済報告の基調判断は、前月まで2回続けて用いた「景気は引き続き悪化している」との表現から、3カ月ぶりに下方修正され、「景気は一段と悪化している」となった。今年に入ってからの基調判断の下方修正は7回目となった。
これまで比較的堅調な動きを見せていた個人消費が弱含みに転じたことが第一の理由。内閣府幹部によると、「自動車や家電販売、旅行など比較的堅調であった選択的支出の分野も、弱いのではないか。雇用環境の悪化を背景に、消費者心理も悪化している」と見方から、前月の「おおむね横ばいの状態が続いているものの、このところ弱い動きがみられる」との表現から、「弱含んでいる」に下方修正したという。
さらに、雇用も、戦後最高を更新する完全失業率などを背景に、「失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている」と、「全体的に下方修正した」(内閣府幹部)という。同幹部は、「製造業など基幹的部門の雇用に景気悪化の影響が出てきている」と指摘している。
内閣府幹部は、前月時点では確認することが難しかったとした米テロ事件の経済的影響について、「消費者信頼感指数など米国の経済指標が出てきて、それが予想よりも落ち込み幅が大きい」とし、影響が明らかになってきている、と述べている。
月例報告の中では、個人消費に対する米テロ事件の影響について、「消費者マインドの悪化傾向に寄与した可能性や、海外旅行の大幅な減少が考えられる」としている。
今月の月例報告では、景気の先行きについて、「米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっている」とし、世界経済の減速を盛り込んだ。
輸出や生産、企業収益、設備投資は、「輸出、生産が大幅に減少し、企業収益、設備投資も減少している」と表現が据え置きとなった。
ただ、生産に関しては、先行きについて、「在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあること、および米国における同時多発テロ事件等の影響を含め、今後の需要動向が不透明であることは、懸念すべき点である」と指摘している。
一方、物価については、「特段大きな動きはない」(内閣府幹部)としており、判断に変更はないが、月例報告の中では、国内卸売物価について、「技術革新や需要の減少等を背景に、電気機器や化学製品などが値下がりしていることから、下落幅はやや拡大している」としている。
このほか、内閣府幹部は、狂牛病の経済への影響について、「ないわけではないが、(消費に関する)景気判断を左右するほどのものにはなっていない」と語った。
これを受けた政策態度としては、10月26日に決定した「改革先行プログラム」や今年度補正予算案の編成を挙げたうえで、「経済財政諮問会議において、内外の情勢を絶えず監視・分析し、さまざまな状況の変化に、構造改革の推進をはじめとする新たな政策対応ができるよう予め検討している」とした。内閣府幹部は、この「新たな政策対応」という点について、「特に何という特定はしていない」と述べている。