投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 13 日 23:00:32:
市況の低迷が続くなかで3大証券各社ともに主力の株式委託手数料収入が大きく減少、各社ともに収益環境の悪化が続くなかでモルガンスタンレー、メリルリンチといった外資系大手証券の間でも日本でのリテール分野から撤退する動きが加速してきた。
モルガンスタンレー証券は13日、日本でのリテール業務から撤退することを決定、既存の顧客資産は順次返却の上でリテール業務を清算する考えを明らかにした他、メリルリンチ日本証券も既に、日本から撤退する方針で内部調整を進めており、大手外資系証券の間から日本でのリテール分野撤退の動きは今後、国内の中小証券にも波及する勢いともなってきた。
今回、リテール分野からの業務撤退が明らかとなったモルガンスタンレー証券に関しては、リテール店舗は東京・恵比寿と日本橋のわずか2店舗だけとリテールの比重は低いことからリテール撤退が業績に与える影響は軽微なものと見られている。問題なのはメリルリンチ日本証券の方だ。
1997年に破綻した山一証券の一部の従業員や店舗網を引き受ける形で外資系証券としては始めて本格的に日本進出を果たしたメリルリンチ日本証券は国内だけで3400名もの従業員と全国30支店の店舗網を有し、準大手に匹敵する業務展開を進めてきただけにここでメリルリンチ日本証券がリテールから撤退するということになれば大幅な余剰人員を生み出すことになるからだ。
同社に関しては米国本社も同時多発テロの影響を受けて本社ビルの機能に深刻な被害が出るなど業績の悪化は国内外共通の問題となっている。それだけにこれ以上、日本での赤字を抱え込むだけの余裕はない、といったところが同社の置かれた正直な状況で業務撤退は日本だけでなく、米国以外の外国での全ての地域に及ぶ可能性も強まってきている。
関係者によるとメリルリンチ日本証券に関しては日本でのリテール分野での業務進出にあたって日本政府からの雇用助成金を受けたという経緯があり、厚生労働省からの指導などもあり、撤退を行う代わりにリテール業務部門の売却先を必死になって探しているのが現状との声が聞かれた。
しかし、別の証券業関係者からは2001年9月中間期で大和、日興といった大手証券がそろって赤字転落となるなかで3000名を上回る人員を誇るリテール部門を引き受けられる国内証券は皆無といった見方も強く、メリルチンリが国内でリテール部門の買い手を見つけることは不可能といった見方が強い。
外資系企業の日本市場からの撤退としては今年8月、日本法人の閉鎖を決定した上で日本法人の全従業員の解雇を決定したパソコン大手のゲートウェーが記憶に新しいが、ゲートウェーのように従業員全員解雇の上で撤退もできず、さりとて国内では買い手も見当たらないなかで赤字だけが雪だるま式に膨らむメリルリンチ証券が今後どれだけ持ちこたえられるのか、国内の証券業界関係者からは「明日はわが身」といった同情にも似た声も強まってきている。