投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 08 日 10:02:29:
4大メガバンクが優良債権を証券化して売却する手法中心に過去最大規模の7-8兆円程度をバランスシートから切り離すようだ。これは、自己資本比率を10%程度に保つ必要から実施するという。株式投資をやっている方なら分かり易いだろうが、評価益の出ている株と評価損が出ている株があり、まずどちらから現金化するかと聞かれれば、ノータイムで「損の出ている方」と答えるだろう。大体、市場が危惧、心配しているのは、売却のできる(買い手がいる)優良貸し出しではなく、質の劣化した貸し出しの方なのだから、今回の切り離しは市場の評価は得難いと考える。
ところで、中国に対する農産物(ネギ、シイタケ、イグサ)の輸入制限が本日切れる。政府調査の期限である12月21日まではセーフガードの正式発動には踏み切らず中国と話し合い解決を目指すようだ。また、世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が9日から13日まで開かれる。日本に関しては、ゼーリック米USTR代表が「柔軟性が全くない」、「日本は狭量だ」と批判を強めており農業分野で日本が譲らないことに業を煮やしているようだ。付加価値の高い工業製品を世界に売り歩く一方で、競争力の乏しい農業を保護する発展途上国型貿易政策は国際批判に晒され、今後わが国が工業製品分野での不利益を被る可能性は高まることには懸念しておきたい。
一部に、柳沢金融相と大手15行の頭取・社長との会合での出席者の発言内容が報じられた。公的資金に関しては、再注入には否定で一致したようだ。この状況を踏まえ、投資家は、今後、銀行株、ひいては株式市場が大底を入れるシナリオはある程度想定しておく必要があろう。まずは、銀行が自助努力で資金調達、資本増強を早期に実現できるか、否かの見極めが必要だ。これができれば生き残り、出来なければ当然、国有化の道を辿ろう。次に、アッと驚くようなリストラ策を4大メガバンクのうちどこかが、これまた早期に打ち出せるかもその条件となる。
銀行自身の資金調達の可否と大リストラの着手。これが今月出てくるかが金融システム健全化の試金石となる。卑しくも不特定多数の国民から預金を預かる金融機関が、いつまでも、PBR1倍割れの状態で市場を浮遊していること自体異常だろう。このような金融機関が、なんと融資審査業務をしていることについて、「本当にその資格があるのですか」と聞き返したくなるような株価状況と経営陣は認識するべきであり、一刻も早い改善が必要であることは論を待たないであろう。