投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 07 日 14:45:44:
日本テレコム<9434>株の先行きが不安視されている。経営権を握る携帯電話世界最大手の英ボーダフォンは12月にも、外国人の新社長の派遣を決めそうだ。外資主導といえば、ルノー傘下で劇的な復活を果たした日産自動車<7201>が連想されるが、テレコムの場合、株価は急浮上どころか、さらなる下げ要因すら待ち受けている。
●マイライン敗北は経営判断ミス
日本テレコムにとって最も頭の痛いのが、マイライン(電話会社選択サービス)の顧客争奪戦での失敗。9月末時点でNTT<9432>は大方の予想通り独走。テレコムのシェアは東日本の市内通信で6%と、KDDI<9433>12%の半分しか取れず、東京電話のブランド名で拡大中のTTNet(東京通信ネットワーク)の9%にも及ばなかった。かつて稼ぎ頭だった市外通話でも、一部で東京電話に負けている。
最大の敗因は「契約代理店への報酬を出し渋ったため」(関係筋)という。劣勢にあわてた夏場から販促費用を増額したようだが、すでに時期を失している。金をつぎ込むべき時を見誤る経営判断ミスを犯した格好だ。
●新社長待ちで思考停止状態に
12月には臨時株主総会が開かれ、テレコムの新社長が選出される。会長に退くことが決まっている村上春雄社長は「頼もしい仲間が来てくれる」と、新人事に期待するポーズを見せる。しかし「新社長体制待ちとばかりに、社内は思考停止状態に陥っている」(業界担当記者)といい、劣勢挽回策はさっぱりみえてこない。
●リストラは中途半端に
ボーダフォンのテレコム買収は、携帯電話子会社のJ―フォンが目当てというのが定説だ。このため、テレコムの国内固定通信部門の売却説が根強い。しかし、NTT東西が低採算にあえぐなど、国内固定電話は利益を出しにくい状態にあり、仮に売却するとしても買い手探しは難航しそうだ。
さらに、倒産前夜の状態で救済された日産と違い、テレコム内では外資に呑み込まれる危機感が薄いことも、経営刷新の効果を削ぎそうだ。
●取引先離反も
ボーダフォン主導のリストラが始まれば、工事発注など取引先の選別が加速する公算が高い。そうなれば、来年3月期末を越えるとともに、仕事ほしさに買っていた取引業者が持ち株を手放し、少なからぬ需給圧迫要因になりそうだ。
証券関係者の間でも「通信セクターは各種指数への影響の大きいNTT、NTTドコモ<9437>、NTTデータ<9613>とKDDIを組み入れておけば十分」(国内運用会社)、「吉凶どちらに転ぶかわからない経営刷新より、確実に表面化するマイラインの出遅れによる打撃の方が気になる」(中堅証券情報担当)と、弱気な見通しが聞かれる。
(半沢 昭悟)