投稿者 柘植行人 日時 2001 年 11 月 07 日 05:35:25:
第一勧業、日本興業、富士の3行で構成する、みずほホールディングスは6日、01年度の不良債権処理額を9月発表と比べほぼ倍増させ1・8兆円程度にする方向で最終調整に入った。さらに年間で、1兆円程度に上る株式の含み損の償却を検討。財務の抜本的な健全化で業績の急回復を図る。大手各行は金融庁の特別検査に対応し、不良債権処理の増額を検討しているが、みずほが巨額の上積みに踏み切ることで、他行にも影響を与えそうだ。
不良債権の前倒し処理に伴い、みずほの01年度の決算(02年3月期決算)は数千億円の最終赤字に転落する見通し。最大3000億円の増資をあわせて行い、自己資本比率の低下を防ぐ。
大手14行は00年度に、不良債権の売却や引き当てによって計約4兆2000億円を処理したが、みずほの増額で01年度はこれを上回る可能性が出てきた。
みずほは、00年度決算で約8500億円の不良債権を処理。01年度については、今年5月時点では5000億円程度の予定だった。しかし、金融庁の通常検査で、不良債権残高が1兆円以上増え5兆5000億円程度に上ったのを受け、9月には処理額を1兆円余に増やすと発表した。
今回、さらなる増額に踏み切るのは、近く始まる特別検査をにらんで、予防的に対応するだけでなく、先行きの景気悪化を織り込んで可能な限り処理し、不良債権問題と決別するのが狙いだ。
特別検査で金融庁は、不良債権予備軍とされる要注意先債権のうち、特に大口融資先について厳格な引き当てを各行に求めると見られる。みずほは、ゼネコンや流通など過剰債務を抱える特定業種に対する処理額を積み増す。また、一部の要注意先債権が、破たん懸念先に転落しても、収益を圧迫しないように十分に引当金を積むなど抜本策を講じることにした。
一方、9月中間期の株式含み損は、1兆円近いとみられる。すでに1500億円は処理ずみだが、来年4月に3行が分割・合併して2行に再編する際、資本の一部を活用して残りの含み損を処理する。剰余金の枯渇で、国が保有する優先株に配当できなくなる懸念が指摘されていたが、みずほは、今後、株価が大幅に下落しても、剰余金の枯渇懸念はなくなるとしている。【藤好陽太郎】
[毎日新聞11月7日] ( 2001-11-07-03:01 )