投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 06 日 20:24:32:
景気の大幅な悪化を背景に今年度のマイナス成長が確実になったことを受けて、今年度の第2次補正予算を編成し、02年度予算と一体化した経済財政運営を図る「15カ月予算」論が政府・与党内で急浮上してきた。来年度の国債発行額を30兆円以下に抑制するという方針を堅持しながら、景気にも配慮を示すねらいだ。ただ、2次補正は今年度の「国債30兆円枠」突破に直結し、景気後退が長引けば02年度も「30兆円枠」の達成が困難となる可能性もあるだけに、政府は厳しい判断を迫られている。
2次補正については、平沼赳夫経済産業相が6日の会見で4兆円規模の編成が必要との考えを示したほか、麻生太郎・自民党政調会長などが編成を主張。経済財政諮問会議の民間メンバーも「15カ月予算」の必要性を強調している。
02年度の税収は、景気回復の遅れで今年度に比べてさらに落ち込む可能性が高い。このため、今年度中に景気下支えのための追加的な手当てをしないまま、02年度で「30兆円枠」を堅持すれば、景気後退と物価下落がらせん状に続く「デフレスパイラルに陥る」(自民党幹部)との懸念が強まっている。
「15カ月予算」は、本来は02年度予算に盛り込むべき歳出の一部を2次補正に前倒しして取り込むことで、政府・与党が景気下支えに機動的、積極的に取り組む姿勢をアピールできる。さらに、02年度予算での「30兆円枠」達成を容易にする狙いもある。
しかし、今臨時国会に提出する1次補正予算案で今年度の国債発行額は30兆円の上限に達しており、2次補正の編成は今年度の「30兆円枠」達成を自動的に断念することになる。このため、塩川正十郎財務相は6日の会見でも「補正予算案を早く閣議決定して早期成立して欲しい。その1点です」と述べ、現時点では2次補正の編成を否定し続けている。
ただ、「15カ月予算」支持派も小泉改革が掲げる構造改革路線の維持が基本で、2次補正予算の内容は「新規産業育成や技術革新への支援策」(平沼経産相)などに限定する考え。民間エコノミストの間には「1次補正の延長線上にある内容だけでは効果は限定的」との指摘もあり、米同時多発テロ事件で一段と悪化している景気を下支えすることができるかは不透明だ。 【会川晴之】