投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 06 日 18:30:49:
1700億円もの累積赤字を抱える関西国際空港会社が、1994年の関空開港以来、空港の管理・運営以外に行っているホテル事業や駐車場事業などについて、事業別の明確な損益を計算していなかったことが、会計検査院の調査で6日までに明らかになった。
また、航空機発着回数や旅客数などの需要予測を立てる際に使用してきた算定データが、昨年の予測策定時以外は保存されていなかったことも判明した。財務体質の改善が急務となっている特殊法人で、赤字の原因分析が詳細に行われていなかった実態が浮き彫りになった。
関空会社は特殊法人として関西国際空港の管理・運営を行う一方、空港島内で、「ホテル日航関西空港」(日本航空グループに運営委託)や、同ホテルやデパート、飲食店などが入った大規模商業施設「エアロプラザ」、立体駐車場などの事業も展開している。
しかし、会計上、空港事業とその他の事業を合算した総括的な損益計算を行うだけで、個別事業ごとの明確な損益を計算しておらず、事業別の詳細な財務分析を行っていなかったことが、検査院の実地検査でわかった。
これに対し、成田空港を運営する新東京国際空港公団では、駐車場運営事業について、事業別損益を計算している。
関空会社は1984年の会社発足の際、当時の航空輸送実績や政府の経済展望などを基に輸送需要を推計したうえで、「開港5年で単年度黒字、9年で配当開始、23年で借入金の全額返済」とする経営目標を掲げた。しかし、予想以上の地盤沈下などのため開港が1年以上も遅れたうえ、総事業費も大きく膨らみ、当初目標は達成できなかった。
その後も、第6次空港整備計画(91―95年度)策定時や、第7次計画(96―2002年度)策定時などに、それぞれ需要予測を公表してきたが、いずれも実績が伴わず、昨年11月、あらためて需要予測を下方修正した。
このため、検査院が、関空会社の需要予測の立て方に問題がなかったかどうかを調べようとした。ところが、昨年の需要予測以前の予測については、策定時に用いたデータが残されておらず、詳細な分析ができないでいた。
検査院の指摘に対し、関空会社では「事業別損益を計算していないのは、空港全体の運営・経営という観点を重視しているからで、それぞれの事業について経営改善の努力は続けている。需要予測のデータについては、膨大な資料を保存していくよりも、予測にあたっての基本的な考え方を、改善を加えながら引き継いでいくことの方が大切だと考えているため」と話している。
(11月6日14:33)