「 須田日銀委員:構造調整過程での自然な円安の流れ受け入れるべき さいたま市 11月5日(ブルームバーグ)

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 05 日 18:08:03:


日本銀行政策委員会の須田美矢子 審議委員は5日午後、さいた
ま市内で開かれた金融経済懇談会で講演し、「仮に 構造調整が進む過程で自然な円安の流れができるようであれば、これを受け入 れるべきと考えている」としながらも、「意図的に円安を求めれば、近隣窮乏化策とみなされ、近隣諸国との友好関係にも大きな悪影響を及ぼす」と述べた。

インフレターゲティングについては、「現時点で採用すると金融政策だけで 物価下落を押しとどめることは困難であるため、目標を達成できない状況は続く可能性が高い。いずれかの時点で、達成のためにリスクや副作用の大きい政策手段を取らざるを得ないという事態に至る可能性が大きい」と指摘。

須田委員はさらに、「日銀が国債を積極的に購入してインフレ期待が高まっても長期金利は上昇しないとの意見があるが、標準的な経済理論では期待インフレ率が上昇するときに長期金利が影響を受けないことはあり得ない。むしろインフレ目標を達成するため国債を大量に買い入れると、財政規律の確保について不安感を強め、インフレ期待が変化しなくても、長期金利が上昇する可能性もある」と強調した。

そのうえで、須田委員は「現在の金融経済情勢のもとで、銀行券に対する信認を守りながら、金融政策だけで物価下落を食い止めるような手段があるのか、という点は非常に難しい課題だ」と指摘した。

現在の政策はインフレ目標と同様の緩和効果

消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%を上回るまで現状の金融政策を続けるというコミットメントについては、「インフレ率が安定的にゼロ%を超えるような経済状況においては、将来のインフレ率の予想値はプラスになっ ていると考えられる。言い換えると、日銀はインフレ率の予想がゼロ%ではな くある程度のプラスになるまで、現在の超緩和的な金融調節を続けると宣言し ていることになる」と説明。

そのうえで、「私は現在の金融政策がデフレを許容しないという強い決意を 具体的な数値で示したものであり、インフレターゲットと同様の緩和効果を資 本市場にもたらしていると考えている」と述べた。

財政政策については、「景気対策か、財政再建かという対立軸でとらえるの ではなく、中長期的に財政規律を確保する仕組みを確立したうえで、経済状況 に応じて弾力的に財政政策を活用することもあり得るという方向で議論を深め る必要があると思う」と述べた。

「ヘリコプターマネー」は銀行券の信認損なう

須田委員はさらに、「日銀が何の資産も購入せずに銀行券をまき散らすヘリコプターマネーを実施すれば、物価下落には歯止めがかかるかもしれないが、 その一方で銀行券はだれにでも喜んで受け取ってもらえるという共通の信念が 崩れる可能性が高まる。そうなれば、極端な場合には物物交換するような状態 になることすらあり得ないわけではない」と指摘。

また株式や社債を購入する場合には、「日銀が購入した資産の価値が著しく 下落し、荒唐無稽にさえ思えるヘリコプターマネー政策と同様に、日銀の財務 の健全性は損なわれる」と述べた。

そのうえで「日銀がこうした問題点を承知のうえで、財政政策の機能を通じて銀行券の増発や当座預金残高の引き上げを続ければ、いずれかの時点では デフレが止まり、インフレ期待が生まれるかもしれない。しかし同時に銀行券 に対する信認が損なわれる可能性があることを十分に考慮する必要がある」と述べた。


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