投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 05 日 15:02:03:
回答先: 小泉ボンド・日本経済の新たな危機の扉〜1. 「戦時国債」発行で改革失敗を隠蔽(ウイークリー・ポスト・ドットコム) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 05 日 14:59:11:
(1) 優良企業銘柄が一斉に急落
日本の株式市場はアメリカでの同時多発テロ発生翌日に株価が1万円割れし、その後は1万円前後にはりついたまま横ばいを続けている。奇妙なことに、その中で優良企業とみられてきた一部の銘柄がまるで狙い撃ちされたように下がり続けている。
代表的なのが次の4社のケースだ。
■物流大手A社は不況下でも安定した配当を続け、テロ直前の株価は550円をつけていたが、この2か月で400円まで売り込まれた。
■大手化学メーカーB社も利益や株主配当は十分な水準を維持し、株価は安定していたのに、やはりテロ事件をきっかけに2割以上も暴落した。
■C重工業の場合、テロ直前まで≪超優良銘柄≫として投資家の注目を集め、株価は今年に入って1・5倍に急騰した。ところが、テロ事件を機に真っ逆さまに下がり続け、10月にはついに今年最安値を記録した。3割以上の暴落である。
■世界的なIT企業のD社。社内改革にいち早く取り組み、半導体不況で業界全体が業績を悪化させている中でなんとか黒字決算を続けてきたが、テロ事件後に株価は2割も下げた。
いずれも≪小泉不況≫の中にあって業績が安定した一流企業だけに、これといった株価急落の理由が見当たらないのだが、それらはディーラーの間では≪金融危機銘柄≫と呼ばれている。大手証券会社ディーラーがこう説明する。
「4社に共通しているのは、深刻な経営危機に陥っている大手生命保険会社が大株主になっていることです。その生保が破綻すると、あおりを受けて4社の経営まで危うくなる恐れがある。あるいは生保が決算対策のために株を大量に売るかもしれない。いずれにしても将来の値下がりが予想されるため、それを見越して売られている」
生保危機はいまやその他の優良企業をも飲み込もうとしている。
銀行、生保など金融機関が企業を系列化し、株の持ち合いから、融資、取引先の仲介まで面倒みてきた日本的システムが、ひとたび金融危機に直面すると経済全体へと危機を広げている現実を物語っている。
そうした事態をみて、アメリカのヘッジファンドが、すかさず動き出した。
実際、金融危機銘柄は明らかにそれらの標的にされている。大手信託銀行幹部。
「一日の値動きをみると、少し値を戻すとすかさず大量の売りが浴びせられる。典型的なヘッジファンドによる空売りの手口だ。将来値下がりすることがわかっているだけに、確実に利益が出せる」
空売りとは、投資家がその企業の株主から株を借りて売りに出し、相場が下がったところで安く買い戻すと、その差額が利益になるという取引だ。証券取引等監視委員会は規制しているが、外国投資家についてはチェックが難しいために事実上、野放しになっている。
(2) 対米スケープゴート3社
重要なのは、そうしたヘッジファンドによる特定企業への売り浴びせが、単なる利ザヤ稼ぎにとどまらず、生保や銀行を破綻に追い込んで傘下の企業を丸ごと超破格値で買い叩こうと狙っていることだ。
小泉首相に近い自民党財政族の有力議員が10月中旬、こっそり訪米した。アメリカの政界と金融界の実力者が集まる非公式な勉強会に参加するためだった。
その席で、ブッシュ政権で経済問題を担当する高官から重大な申し出がなされた。
「日本の不良債権問題はどうなっているのか。われわれは小泉プランに期待している。日本が適正な時価で企業の売却を進めるなら、米国資本が買収する用意がある。これは財務省の意向でもある」
≪小泉プラン≫とは、小泉首相が9月の日米首脳会談に先立ってまとめた不良債権処理策で、銀行の不良債権を政府(整理回収機構)が買い取り、融資を焦げつかせている企業をつぶすか、債権放棄で救済するかを政府主導で決めるというやり方だ。
その対象として、官邸にはすでにゼネコン、不動産、流通、ノンバンクなど経営不振の大手企業30社のリストが提出されている。
“早く企業をつぶして米国資本に買収させろ”
アメリカ側の要求の真意である。
小泉首相は改めてこう指示した。
「30社のうち3社ぐらいはつぶすしかない」
政府は一斉にどの企業を破綻させて米国に買収させるかのスケープゴート選びにとりかかった。企業にとって、まさに≪悪魔の選択≫であり、国民には日本の企業資産が売り渡される重大な損失を強いられる。問題はどの企業がつぶされるかである。大手銀行は処理される企業次第で大きな損失を抱えるだけに、どこも情報収集に懸命になっている。
「リストの企業はどこが破綻しても不思議ではないから、あとは官邸の決断次第だ。流通業界ではすでにそごうとマイカルが倒産した。次は大手ゼネコンが候補になる可能性が強いとみている。経営状態が悪い順番からいけばE建設が筆頭だが、そこがつぶれるとメーンバンクの中堅都銀が危機に陥る。また、もう一つの候補のF建設が処理対象になれば、準メーンである北陸の地銀が傾き、その傘下の大手メーカーや子会社まで地域経済が大打撃を受ける。そう考えると、実際に取りつぶしになる企業は、経営内容より、銀行や地域経済に与える影響がどこまで小さくおさえられるかという基準で判断せざるを得ない」(都銀幹部)
危機のドミノは果てしない。この都銀では、有力な取りつぶし候補の企業を数社に絞り込み、中間決算の調査名目で内々に様子を探ったが、いずれの企業の経営陣もまさか自分の会社が政策的に破綻させられそうだとは全く気づいていないという。
こうみると、ヘッジファンドの金融危機銘柄への狙い撃ちのような売り浴びせも、小泉首相への圧力も、日本がテロ戦争に気をとられている間に、アメリカの≪日本買い占め≫の国家戦略がいよいよ本格的に動き始めたとみた方がいい。しかも、小泉首相はそうした圧力に簡単に屈してしまった。