投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 03 日 12:09:47:
資力の乏しい人に訴訟費用を立て替えて弁護士を紹介する財団法人法律扶助協会大阪支部(大阪市北区)の財政が破たん寸前になっていることが2日までに分かった。不況で個人の自己破産申し立て件数が急増したことが大きな要因。積み立てた基金を取り崩し、しのぐ苦しい状態が続く。同支部は「このままでは来年度にも破たんし、扶助業務の縮小を迫られる可能性がある」と危機感を募らせている。
同支部は国庫補助金や大阪府と同市の補助金などで運営。個人の自己破産申し立てや、離婚訴訟、交通事故の損害賠償請求などで弁護士費用を立て替えてきた。自己破産の費用立て替えは、昨年度は、バブル期の90年度(約270件)に比べ約5倍の1356件で、98年度の579件と比べても2倍以上に達した。自己破産の立て替え分は裁判所の債務免責決定の対象で、ほとんど回収できない。
このため、年間運営費約3億8000万円の同支部は、昨年度自己破産の申し立て費用立て替え分だけで約2億5000万円を支出した。しかし、府と市の補助金も財政悪化で昨年度計約700万円と5年前と比べ3割減るなどしたため、運営資金は昨年度初めて約4000万円赤字となった。このため寄付を積み立てた基金を取り崩して補った。基金は本来、少年事件の付添い人の弁護士費用などに使うのが目的だが、残額は約2000万円と、今年度中に底をつきかねない。
今年は4〜9月で既に776件の自己破産申し立ての弁護士費用を立て替えており、例年、年末や年度末に増えることから昨年度(1356件)を超えるのは確実。一方で離婚訴訟の立て替え件数も増えている。
全国各支部で昨年度受け付けた個人の自己破産件数は、98年度の2・4倍の約1万2000件。今年度も昨年度以上のペースで増えており、法律扶助協会本部(東京都千代田区)は今年度末に約8億7000万円の財源が不足すると推計。各支部の財政は苦しいが、特に大阪支部は深刻で、今年春から大阪弁護士会の弁護士に「義援金」を呼びかけたり、インターネットなどで寄付を求めているが、思うように寄付金は集まっていない。 【小栗高弘】
法律扶助制度に詳しい宮沢節生・早稲田大法学部教授(法社会学)の話 日本の法律扶助に関する国家予算は40億円ぐらいでアメリカに比べ金額で10分の1程度。先進国の中では予算水準が非常に低いといわれ、このままでは今後さらに増加するであろう個人の自己破産の立て替えにとても対応できない。国はもっと法律扶助を支える予算を拡大するべきだ。
[毎日新聞11月3日] ( 2001-11-03-03:01 )