投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 02 日 20:44:47:
昭和シェル石油<5002>によるガス・ツー・リキッド(GTL)の灯油国内販売が、様々な憶測を呼んでいる。GTLは天然ガスから作るいわば「人造石油」で、次世代のクリーン燃料ともいわれる。しかし、この燃料のメリットは非常に「クリーン」で価格も原油並みといわれるだけでなく、「燃料電池の燃料」や現在問題化しているディーゼルトラックの大気汚染対策などにも有効なことから、同社が国内の石油市場に一石を投じた、といえる。さらに今後「スーパークリーン軽油」や、「スーパークリーンガソリン」を続々と投入してくるその先駆けとみる向きもある。
●GTL時代が到来か〜クリーンでコスト安も見込める
2003年にはトヨタ自動車<7203>が燃料電池車を投入する見込みで、その燃料としてインフラが整ったガソリンスタンドから水素を供給できれば、最もコスト安であるだけに、昭和シェル石油の動きに追随して今後、日石三菱<5001>、コスモ石油<5007>なども追随すること見通しが強まってきた。石油業界にGTL時代が到来しそうだ。
石油メジャー企業が本格的にGTL開発を急ぐのには理由がある。それは原油と同じ製品体系のものが、原油価格と同等の値段で作れるまでに技術が進歩してきたからだ。
天然ガスを液化したものが液化石油ガス(LNG)。都市ガスの原料として広く知られているのがこれだ。
GTLは液化するのではなく、特殊な触媒技術を用いて天然ガスからガソリンや軽油、灯油、石油化学原料のナフサを作ることがLNGとは大きく異なるところ。原油は、精製しても不純物が多量に含まれ、それが燃焼時に大気汚染の原因物質を作り出す。それに対して、GTLはクリーンな天然ガスから作るので、窒素分やメタル分、硫黄分などが全くといっていいほど含まれていないので、極めてクリーン。
●クリーンな軽油をディーゼル問題の切り札にする?
昭和シェルが売るGTL灯油は、まさにそのクリーンさが売り。今回は家庭用だが、同社の真の狙いはクリーンな軽油をディーゼル問題の切り札にすることにある、とみられている。またスーパークリーンガソリンは、通常のガソリンとしても使えるとともに、燃費についても大きな効果が見込める、という。
GTLの投入は、原油から作られることが常識だった従来の石油製品とはまったく異なる製品が、石油市場に投入される、ということになる。
しかも、この新型の燃料は、次世代の自動車の燃料電池の燃料にもなる、というのだから他の石油元売りにとっては“油断”できない事態といえよう。
エネルギーに革命をもたらすかも知れないGTLで、昭和シェルが最も活発に動いているほか、エクソンモービルや昭和シェルと組んでいる日揮<1963>の動きからも目が離せない。
○URL
・昭和シェル石油
http://www.showa-shell.co.jp/
[伴有亮太郎 2001/11/02 17:56]