投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 27 日 10:29:29:
企業が従業員を解雇する際の手続きや要件を明確にする「解雇ルール」づくりに向けて、厚生労働省が検討に乗り出したことが26日、明らかになった。小泉内閣が進める規制改革路線の中で、企業が人を雇いやすい環境づくりを進める意味合いが強く、日本の雇用慣行や労使関係の根本的な見直しにつながる。条件を明示すれば解雇しやすくなる面もあるため、「クビ切り」に拍車がかかる懸念があり、大きな論議を呼びそうだ。
厚労省がルールづくりの検討を求めたのは、労働政策審議会の労働条件分科会。今月19日の会合で、法整備を含む解雇ルールの位置づけ▽手続き・要件の内容▽契約終了の際にトラブルが発生した場合の迅速な解決方法、などを検討課題として示した。同省の審議会が解雇ルールを正式に検討するのは初めてで、金銭解決による解雇などの条件整備も議論の対象になるとみられる。
解雇については現在、労働基準法で30日前に従業員に予告すれば解雇できることになっているが、「社会通念上、相当と認められない場合は権利の乱用として無効」との最高裁の判例で、事実上、解雇権は厳しく制限されている。
さらに判例では、解雇が認められる場合として、(1)人員削減の必要性(2)解雇回避の努力済み(3)解雇対象者の選定が合理的(4)労使協議など妥当な手続き、の4要件を満たすことが必要とされている。個別のケースについて解雇が認められるかどうかは、裁判所の判断にゆだねられているのが実情だ。
しかし、長引く景気の低迷で企業には雇用過剰感が強く、解雇をめぐる紛争も少なくない。また、ルールがはっきりせず、紛争処理に時間や費用がかかることが、企業が採用を手控えたり、外資系企業などの参入を阻害したりする要因だとして、ルールの法制化を求める声が規制改革を推進する学者などから出ていた。
こうした声を背景に、小泉純一郎首相が今年5月、終身雇用を前提とした雇用制度の抜本的見直しを厚労省に指示していた。
ただ、経済界の中にも、この時期のルールづくりは「便乗解雇につながりかねない」との見方がある。また、労働組合側は、企業の安易な解雇に歯止めをかける逆方向の「解雇ルール」づくりを求めていることから、今後、審議会でも議論が紛糾するのは必至だ。
(08:34)