投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 01 日 17:28:59:
連合(笹森清会長)は1日までに、一人当たりの労働時間を短縮して仕事を分かち合うことで失業を減らす「ワークシェアリング」の本格的な導入へ向け、検討を開始する方針を固めた。急激な雇用情勢悪化を踏まえ、賃下げを伴う導入に反対していた従来の姿勢を転換した。
日経連(奥田碩会長)と研究会を設置、来年3月をめどに具体的な導入案を策定し、個別企業や傘下の労働組合に働きかける。
これまでワークシェアリングをめぐっては、経営者側が時短に伴う賃下げで人件費を 抑制するよう主張してきたのに対し、連合は、賃金を減らさないことを前提に、残業を削減した分で雇用の維持や創出を目指すべきだと主張し、議論が平行線をたどってい
た。
しかし、今年に入ってIT(情報技術)関連の製造業を中心に雇用環境が悪化。9月の完全失業率(季節調整値)は過去最悪の5・3%を記録し、完全失業者数も過去最多の357万人に達した。
雇用情勢は、米同時テロや狂牛病などの影響で今後さらに深刻化すると見られ、連合内では「雇用を守るためには賃金カットも考えなければならない」(笹森会長)という声が強まってきた。このため、ワークシェアリング導入を前提に経営側と話し合い、一定の賃金を確保するなど条件面の整備を図ったほうが現実的だと判断したものだ。
労使の研究会は、連合の草野忠義事務局長、日経連の矢野弘典常務理事を代表に20人で構成。ワークシェアリング導入に伴う正社員とパートといった雇用形態、給与体系、昇進システムのあり方に加え、課税方法や年金、医療など社会保障制度の適用方法について協議する。
政府も、こうした労使間の動きについて「非常に大きな一歩」(坂口厚生労働相)と歓迎しており、9日にも労使代表と「政労使雇用対策会議」を開いて、労使間の調整を後押しする。
ただ、傘下労組には賃金カットを伴う導入に反対意見もあり、具体案を巡って調整は難航も予想される。
◆ワークシェアリング 労働時間や賃金を減らし、その分で新たな雇用を作ったり、失業を食い止めたりする方法。
〈1〉全労働者の労働時間を短縮して雇用を創出
〈2〉1人分の仕事を2人で分割
〈3〉フルタイムから労働時間の短いパートタイムに転向してその分を割り当て
――など様々なタイプがある。1970年代、失業者が急増した欧米で導入され、オランダでは83年に11.7%だった失業率を2000年には2%台に引き下げた実績がある。