投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 01 日 11:48:01:
株価低迷の長期化が証券会社の体力を奪っている。業績回復へのシナリオが描きにくい中で、売買手数料の値引き競争が再燃するとのうわさが絶えず、証券株にとって新たな悪材料となりかねない。株安で手数料収入が激減し、証券各社の上期業績は軒並み悪化した。野村<8604>など大手3社に加え、個人取引への依存度が高い新光<8606>、国際<8615>、つばさ<8621>の準大手では、打撃はさらに深刻。今年度は残業代カットやシステム投資の先送りで乗り切る会社が多い。しかし、営業マンの契約社員化や早期退職などの人員削減は「すでに限界」(準大手幹部)に達しており、内部留保を食いつぶして相場回復を待つしか手はないのが実情だ。
●野村の出方が焦点
兜町では、野村証券が個人向け手数料の大幅引き下げに踏み切るのではないか、とのうわさが流れ、証券各社は野村の出方を注視している。野村が値引きすれば、他社も追随を迫られる公算が大きいからだ。
収益構造で見た野村と他社の最大の違いは、株式手数料収入への依存度が相対的に低いこと。このため「野村は値引き競争の悪影響が最も少ない」(同)といわれる。言い換えれば、野村にとってギリギリの値下げ幅では他社の経営が成り立たなくなる。
野村をはじめとする上場証券の多くは、ネット証券を中心とした格安手数料を横目に、これまでとほぼ変わらない高い手数料を維持してきた。しかし、実際に値引きが始まれば「野村より個人取引のウエイトが大きい上場証券全社が現在の経営計画を白紙に戻すことになる」(同)のは必至だ。
●中小はディーリングに傾斜も
小回りのきく中小証券の中には、賃金の大幅カットを断行するとともに「ディーリングで収益の半分を稼ぐ」(地場証券役員)と、手数料依存からの脱却に挑戦する業者もある。しかし、多くの支店網を抱える上場証券にとって「ディーリングで手数料の落ち込みを埋めるのは難しい」(同)とみられる。
●証券株愛好家は要注意
証券株は平均株価やTOPIXなどの株価指数より値動きが荒いことで知られる。特に新光、みずほインベスターズ<8607>、さくらフレンド<8610>などの準大手証券は、相場が立ち直る局面で平均株価の上げ率の2倍を超える急騰を見せることもザラにあり、好んで売買する投資家は多い。しかし、手数料の値引き合戦が始まった場合、相場回復の恩恵にあずかれず、他銘柄の値上がりに取り残される可能性さえありそうだ。
(半沢 昭悟)