投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 31 日 10:52:53:
日銀速水総裁が、参院財政金融委員会で大手邦銀の自己資本比率は「今年3月末で11%だが、米国の基準で計算すると7%台となる」と述べた。また、塩川財務相は、過剰債務企業を整理するため新たな基準が必要だとする同相の私案について無配を続ける東証1部、2部上場企業などを対象にした整理が必要だとの考えを示している。
このような状況下、みずほファイナンスシャルグループが、2000億円から3000億円程度を優先出資証券発行で調達するのではと一部報じられている。また、UFJグループが年間賞与を前年実績2割、三井住友が同1割削減する方針とも報じられた。追い詰められても追い詰められても、この程度のリストラと収益を上げるビジョンが明らかにされない以上、もはや明るい展望は期待するべきではなかろう。
不良債権処理を進める絶好の環境は、景気が回復基調で企業収益が上がり、株価が上昇している状況だ。ただ、現在、小泉政権は構造改革過程でのマイナス成長は甘受する方針で、国債発行枠30兆円にこだわり緊縮財政路線を堅持している。経済が縮小均衡する状況では、銀行の持つ不良債権は増えこそすれ減りはしない。最悪の環境での小手先のリストラ策と資金調達は、市場の評価は得られないだろう。
大手行の賞与カットは1998年冬以来だという。ゼロ金利政策で預金者が本来得られるべき利子所得を合法的に銀行に移転し続けたにも拘わらず、現状に至っている。金融庁の特別検査が注目される。どの程度、厳格なものとなるか。これがポイントであろう。銀行、金融庁、過大債務企業による鉄のトライアングルを自己否定して、破壊することができるか。できるなら「買い」、できないのなら「売り」ということになる。
ただし、できるとしてもその環境が整わないといけないだろう。即ち、強烈な株安若しくは日本国信認低下を背景にした国債の下落だ。それを言い訳に(大義名分に)、政治が決断する。そのような茶番。投資家は残念ながら、これに付き合わされることになりそうだ。なお、遅すぎたリストラ策、あまりに小さすぎる固定費削減額。市場の暴力的な動きが加速することに警戒を強めておきたい。