投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 30 日 16:47:05:
九月の完全失業率が5・3%と過去最悪の水準を更新したことに対し、政府・与党は危機感を強めている。中国などからの製品輸入が加速して国内製造業の空洞化が進んでいるほか、不良債権処理が進むことで中小企業の倒産増加なども避けられない情勢で、「失業が日本経済の構造問題になりかねない」(厚生労働省幹部)との懸念が出ているためだ。民間シンクタンクでは、米中枢同時テロなどの影響も加わり、今年度の完全失業率は5%台半ばまで悪化するとの見方が多く、雇用創出など即効性のある雇用対策を求める動きが強まりそうだ。(井伊重之)
政府が来月に国会提出する平成十三年度補正予算では、雇用対策で五千五百億円を計上する。今年度で期限が切れる「地域雇用創出特別交付金」を延長し、地方自治体が林業整備や学校教員などで臨時職員を雇用する対策を盛り込む。また、雇用保険の国庫負担も上積みし、職業訓練の受講を条件に雇用保険の支給期間を実質延長する。
しかし、こうした雇用対策がどこまで効果があるかは未知数だ。中国から安値で製品輸入が進む中、国内製造業は空洞化の危機にさらされており、IT(情報技術)産業などでは大規模なリストラが相次いでいる。また、米中枢同時テロの影響はむしろ、これから本格化すると見込まれており、さらに不良債権処理が進むことで雇用情勢の悪化は避けられない。
民間シンクタンクでは、完全失業率の先行きについて、今年度は5%台半ばまで上昇し、来年度には5%台後半から6%に達するとの悲観的な予測もある。「景気が好転しなければ、雇用情勢の本格的な回復も見込めない」(厚労省幹部)と弱気な見方も出ており、完全失業率の上昇が今後も続けば、本格的な景気対策を求める声が与党内で強まるのは必至だ。