投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 26 日 10:21:40:
平均株価が1万円の大台を割り込んでおよそ半月。「米国での同時テロがなくても、1万円割れは避けられなかった」とする意見が多い。では、底値はいくらなのか? 市場のグローバル化をキーワードに、平均株価6600円でも割高である、といった悲観論も出ている。
●まだ割高な日本株=米国はPER20倍
PER(株価収益率)は、株価が1株利益の何倍になっているかを示すものだ。企業業績で株価を判断する際の最も基本的な指標といわれる。
テロ翌日の12日、225銘柄で算出する日経平均は9600円に急落し、PERは29倍に低下した。その一方で米国株の代表的指数であるS&P500のPERは約20倍(2001年業績予想)だった。2002年予想では18倍ほどになっている。
平均株価が8200円台まで下がると、PERは25倍。さらに突き詰めて米国並みの20倍なら、平均株価は6600円まで下がることになる。足元の平均株価は9000円台半ば、PER29倍では、国際比較で割安感が生まれたとは言い難いであろう。
●日米ともに業績下方修正はこれから織り込み
米国ではジョン・レノンのヒット曲「イマジン」の放送を見合わせる動きが出ていると聞いた。国という枠組みの無意味さを説き、平和を訴える歌詞が戦意を削ぐからなのだろうか。少なくともこうした状況では、今年のクリスマス商戦が盛り上がりを見せるとは到底思えない。「S&PのPER19倍は同時テロの打撃を織り込んでいない」(大手シンクタンク米国担当アナリスト)といい、今後、業績下方修正の洗礼を受けるのはほぼ確実なようだ。
業績が下方修正されれば、株価は低い利益に見合った水準まで下落していく。日経平均のPER29倍も、米国向け輸出の落ち込みや米国株のレンジ切り下げを完全には織り込んでいない。
●株主分布と株価形成もグローバル化
ほんの数年前まで、日本株のPERは米国株の2倍、3倍さえ当たり前だった。株式を互いに持ち合うことで市場に出回る株を減らしていたため、実力以上の株価が珍しくなかった。しかし持ち合い解消が進み、市場で売買される浮動株が増えてくると、株価形成に市場原理がしっかり働くようになる。
言い古された言葉だが、マネーに国境はない。グローバル化が止まらない限り、平均株価6600円をあり得ない極論として一蹴するのは難しい。
(半沢 昭悟)