投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 22 日 22:33:27:
落ち込み続けていた日本の貿易黒字額が、ついに、二年半前の半分の水準になった。二十二日に財務省が発表した平成十三年度上半期の貿易統計速報は、IT(情報技術)分野を中心とした中国などへの生産拠点の移転が、日本の「産業空洞化」を加速させている実態を如実に物語っている。(中川真)
輸出のなかでも、とりわけ電気機器は、映像機器、音響機器、通信機、半導体を含む電子部品、電気計測器の不振で、18・1%減と大幅に落ち込んでいるのが特徴だ。
逆に、中国からの輸入はパソコンなど事務用機器(27・7%増)、音響映像機器(58・5%)などと急増しており、今年度上半期の対中貿易赤字は、一兆五千九百八十七億円に達した。
対中貿易赤字は、原油輸入による対中東地域全体の貿易赤字(二兆三百三十九億円)に迫りつつある。こうした傾向が続き、中国の技術力アップが続けば、将来的にアジアにおける貿易立国の座を中国に譲り渡しかねない状況だ。
日本の主要輸出品のうち、自動車は今年四−六月の円安傾向を受けて、3・3%増と堅調だったが、IT関連は国内の高コスト構造が円安の効果を上回った形だ。
また、九月の貿易統計をみると、対米輸出、輸入ともに二ケタの減少となった。今後、米中枢同時テロやアフガン攻撃などの経済への影響が出始めれば、日本の輸出入にも深刻な影響がでることも予想される。
さまざまな外的要因はあるにせよ、貿易規模そのものの縮小傾向は、「貿易立国・日本」の根底が揺らぐことになりかねない。政府は景気回復策など当面の課題だけでなく、貿易をめぐる日本の経済構造のありかたにも注意を払う必要がありそうだ。