日本を襲う「テロ不況」――大銀行がつぶれる!(WeeklyPost.com)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 22 日 17:59:09:

1) 柳沢金融相が「不良債権処理先送り」を進言

去る10月12日、政権中枢では重要な会議が持たれた。その日、朝8時30分からの定例閣議はさしたる議題もなく、わずか10分で終わったが、閣議室には柳沢伯夫金融相、塩川正十郎財務相、福田康夫官房長官が残り、しばし密談した。対テロ戦争の一方で急速に高まっている日本の金融危機への対応を協議したのである。
「今の経済状況で思いきった不良債権処理を進めたら、銀行はたいへんなことになる」
柳沢氏はそう切り出し、危機の実態を具体的に指摘しながら、福田、塩川両氏を説得した。
「大手銀行にも今期(来年3月末)決算で大きく不良債権処理をする経営体力は到底ない。金融庁が特別検査で厳しい姿勢をとれば、混乱を起こす。この際、官邸も方針を見直していただきたい」
≪官邸の方針≫とは、小泉首相が9月に訪米した際、ブッシュ大統領に約束した「不良債権処理を2〜3年で終わらせる」という対米公約を指している。小泉首相は帰国後ただちに経済財政諮問会議の改革先行プログラムを発表し、その中に金融庁が主要銀行に特別検査を実施し、不良債権の実態を洗い直す方針を盛りこんだ。
金融庁はそれに従って10月末にも特別検査に乗り出す準備を進めているが、その間際になって担当の金融大臣が「検査をすれば金融危機が起こる」と方針転換を訴えたのだから尋常ではない。
しかも、柳沢氏はそれを閣僚として小泉首相に直接意見具申するのではなく、福田氏と塩川氏だけに伝えたのはなぜか。金融庁中枢幹部が明かす。
「小泉総理は銀行がどれほど深刻な経営状況にあるかよく理解していないから、竹中平蔵経済財政相や自民党にいわれるままに不良債権処理策をまとめた。実は、9月の経済財政諮問会議の際に、柳沢大臣と森昭治金融庁長官は特別検査の危険性を主張して反対したが、最後は総理に『これは対米公約だ。どうしても反対というなら、私にも考えがある』と、2人の更迭を示唆されて引き下がった。だが、その後の戦争勃発で不況はさらに進み、銀行の経営を直撃している。柳沢大臣は総理に説明しても耳を貸さないから、塩川大臣と福田長官に方針転換の根回しをした」
≪閣議室の密談≫では、福田、塩川氏も柳沢氏の説く危機の実態に驚き、「不良債権処理より危機回避を優先する」という方針転換に同意したという。金融危機への対応と対米公約の事実上の破棄につながる重要な政策変更が、総理大臣抜きで決められたわけである。

(2) 金融庁特別検査が「銀行破綻」の引き金

銀行側が不安視する金融庁の特別検査とはどんなものなのか。具体的には、小泉首相の経済ブレーンの一人が作成したいわゆる≪30社リスト≫(10月19日号既報)を基に行なわれる。これは、ゼネコンや流通など不況業種を中心に経営不振の大手企業30社をリストアップしたもので、9月はじめに小泉首相に提出された。対象の企業はいずれも経営破綻が取り沙汰されていながら、銀行側は不良債権の中でも最も甘い≪要管理債権≫に分類し、貸倒引当金もほとんど積んでいない。9月に倒産したマイカルもその中の1社だったが、比較的健全とされていただけに、いきなり倒産したことで銀行は融資の大部分が焦げついて大きな損失を出した。
そこで、金融庁が30社を中心に銀行の甘い企業評価をチェックし、経営内容に合わせて≪破綻懸念先≫などに厳しく分類し、銀行に貸倒引当金を大幅に積んで倒産に備えるように指導しようというのが検査の目的だ。
特別検査で不良債権のランクを下げられた企業は、銀行からの追加融資が受けられずに倒産に追い込まれる可能性が強い。それどころか、へたをするとそれらの企業に巨額の融資をしている銀行までも連鎖破綻しかねないという大手術になる。
小泉首相は不良債権処理を構造改革の柱に据えたが、テロ戦争による世界同時不況の影が忍び寄っている時期に、政治主導で企業つぶしに走ればどんな危機を招き、国民生活にどれほどの影響が出るかを綿密に分析した形跡はない。特別検査をすれば大企業倒産と大量の失業者が出ることは歴然としているのに、政府はまだ雇用対策さえ打ち出していないのがその証拠である。

(3) 「都銀1」「信託銀1」の危急情報

金融庁は特別検査に先立って、≪30社リスト≫の問題企業1社ごとに、倒産した場合、どの銀行にどれだけの損失が出るかをひそかにシミュレーションした。結果は驚くべきものだ。
「都市銀行1行と信託銀行1行が極めて危険な状況に陥ることがはっきりした。少なくとも、特別検査でその2行をメーンバンクにしている企業をつぶすか、あるいは再建させるために債権放棄を求めれば、システミック・リスクにつながる。その他に、東日本の有力地銀は現段階ですでに破綻は避けられず、国有化に向けた準備を始めた」
金融庁中枢筋は踏み込んだ言い方をした。柳沢氏が福田、塩川両氏に説明した危機の具体的内容も金融庁のそうした分析に基づいている。
そのうち都市銀行1行は合併をひかえて海外業務からの撤退作業を進めているが、アメリカでのテロ事件などで予想以上に手間取り、合併がズレ込む恐れがある。その場合、来年3月期決算は国際基準に基づいて行なわれなければならず、大幅な赤字に陥るのではないかという見方が強い。
もう一つの信託銀行については、金融庁主導で有力銀行に救済合併させる工作が進められているが、社員のリストラ計画や不良債権をどう処理するかという合併条件の交渉が難航している。
国民には見えないところでギリギリの綱渡りが続いている。金融危機は特別検査の結果が出る12月にも表面化するとの見方が強まっている。

(4) 最終手段は「ペイオフ再延期」のまやかし

政府はその金融危機にどう対応するかとなると、実に心もとない。肝心の小泉首相自身に危機の認識がなく、金融庁の特別検査を急ぐように指示しているのだから、そのことが逆に銀行破綻を招き寄せる結果になることがまだわかっていない。
不良債権処理の先送りで合意した柳沢、福田、塩川氏にしても、国民に≪金融非常事態宣言≫を出して政府が責任をもって国民の金融資産を守ると発表するのではなく、裏で姑息な危機回避策を練っているにすぎない。責任回避の堂々めぐりではないか。
「あからさまに不良債権処理を先送りするといえば、首相にとって国際公約の放棄を意味する。自衛隊の対米支援でもアメリカが要求しているイージス艦の派遣が難しい情勢だけに、不良債権問題でアメリカを怒らせるわけにはいかない。そこで、金融庁の特別検査の際に、30社リストの中からメーンバンクがしっかりしている企業を選んで1社か2社だけつぶし、銀行への影響を最小限に抑える。そうすれば、アメリカにも不良債権処理を進めているポーズを示すことができるし、総理の面子も立つ」(官邸筋)
――それが福田長官を通じて小泉首相に伝えられた柳沢提案なのだという。この期に及んでなお嘘と先送りで危機をしのげると、どう考えればそういう結論になるのか、常識では思いつかない。
小手先のカムフラージュはまだある。
今年度から企業会計制度に国際基準が導入され、金融機関は保有株を時価で評価し、含み損を損失として処理しなければならない。前出の水野氏が指摘したように、株価はこの半年間で3000円も急落しており、主要13行で株価の含み損は7兆円にのぼると試算されている。銀行が11月に発表する中間決算でそれを損失に計上すれば、危機は一気に表面化する。
そこで、金融庁は内々にルールの変更を指導している。新会計基準では、株価の変動が一時的だと判断される場合、時価評価をしなくてすむ例外規定がある。それを使って、“株価急落はテロ事件による一時的な現象”――という理由で損失を先送りしようというのである。
現実には、株価は小泉内閣の発足以来一貫して下がり続け、テロ事件発生もあって一時的に9000円台前半まで急落したものの、その後は1万円前後で安定している。なんでもかんでも“テロの責任”では通用しない。
しかし、いくら不良債権処理を先送りしても、銀行の経営内容の実態を隠し通すことはできない。来年3月の決算前には否応なく表面化する。
「その時は来年4月に解禁されるペイオフの再延期という手もある」
自民党政調幹部はそれが危機回避の最終手段だという。
不良債権処理も、はたまたペイオフ解禁の金融改革も暗礁に乗りあげた。

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