投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 19 日 21:11:17:
問題銀行に「早期是正」を
−−不良債権の処理がなかなか進みません。
「貸し倒れに対する銀行の引き当てが足りないからだ。銀行の自己査定が甘いため『要注意先』に分類されている問題債権について、銀行が積んでいる引当金は、平均で貸出額の4%程度にとどまっている。しかし、最近の貸し倒れ実績などを元に試算すると13%は必要だ。大手16行で引当金が4兆5千億円も足りない計算になる。銀行の貸出金に占める不良債権の割合は1〜2%が普通だが、今は平均5〜6%に達している。放っておけば手のつけられない額に膨らみかねない」
−−政府は、整理回収機構(RCC)が銀行から不良債権を買い取る価格を引き上げる方向で検討を進めていますが。
「買い取り価格引き上げに反対だ。買い取った不良債権をRCCが処分する際の2次損失発生が、国民負担の増大につながるのも問題だが、より大きな問題は、この手法では銀行の整理再編がほとんど進まないということだ。銀行の経営責任があいまいとなり、本来は市場から退場するべき銀行の延命につながる」
「拓銀の破たんで北海道経済が混乱した97年のころから、借り手保護の意識が金融当局に強くなり、銀行に債権を回収しろと強く迫れなくなってしまった。そのため不良債権処理が大きく遅れた面がある。借り手保護を強調し過ぎると、結果として非効率な企業の整理や銀行のさらなる再編が進まなくなる」
−−具体的にはどうすればいいと。
「経営に問題のある銀行には公的資金投入ではなく、業務改善などを命じる早期是正措置を発動するべきだ。発動の尺度となる銀行の自己資本比率は、厳しい引き当て処理をさせた後の実質自己資本比率を用いる。債務超過に陥った銀行は破たん処理し、公的資金投入はその穴埋めをする場合に限る。それが本筋だ」
−−銀行の再編はまだ不十分ですか。
「日本の銀行が過大な不良債権を抱えたのは、銀行の数が多すぎ、リスク管理より目先の収益を追う過当競争に走ったことが大きい。今後2〜3年で地方銀行や第2地銀などの再編を集中的に進めるべきだ」
「破たん銀行の預金の保護の上限を、1000万円とその利息までとするペイオフの解禁が来年4月に迫っている。再編を進めるためなら、2、3年延期してもいい」
−−ペイオフも不良銀行の退場を促すのでは。
「現状は金融庁がペイオフ解禁の前提としている『平時』ではなく、信用不安の火種が残っている『非常時』だ。今の段階でペイオフ解禁に踏み切ると、預金者に動揺が広がる恐れがある。銀行の情報開示が不徹底な中で、預金者に銀行経営の判断を求めるのも酷だ」
「不良債権を処理すれば、景気が良くなるわけではない。しかし、日本の経済を立て直すためには避けて通れない。今こそ、政治がリーダーシップを発揮するべき時だ」
<渡辺 孝>わたなべ・たかし 74年東大教養学部卒。日本銀行に入り、営業局、交差局などを歴任し、木津信用組合などの破たん処理も担当。今年4月から現職。51歳。 (聞き手・堀籠 俊材)