投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 19 日 14:14:03:
小泉首相が、「自律的な経済成長を成し遂げるのが大きな目標だ。そのために構造改革をやっており、過程で一時的なマイナス成長はやむを得ない。」と述べマイナス成長を甘受するコメントを発した。残念ながらこれにより、株式市場の上値は相当限定的となったと認識しておきたい。内閣発足以来、改革はお経のように唱えられてはいるものの未だ実現したものはない。この状況で、市場が改革の実現を信じることはもはや不可能に近い状況と言えよう。本日付け日経新聞朝刊1面で特集されている「鉄の三角形」(官僚、族議員、関係業者)を破壊しない限りその達成には懐疑的にならざるを得ないからだ。
株式市場に激震が走る要因は大きく2つあると想定しておきたい。内部では、不良債権。外部では、中東問題である。内部要因は、語り尽くされていることであるが、政府が今年度マイナス成長を容認し、且つ、鉄の三角形を溶解させることができないのなら、財政悪化と不良債権問題の解決は見通せず、早晩、わが国金融システムとわが国自体の信認が低下することになろう。一方、外部は、先日もイスラエルの閣僚が暗殺されたように、パレスチナ問題は混迷度合いを強めつつある。米同時多発テロの遠因も、このパレスチナ問題にあり、いよいよこの問題は、わが国不良債権問題同様、解決を迫られることも想定しておく必要がある。
外部要因に関しては、パキスタンとサウジアラビアの政局とイラクの軍事動向に注目しておきたい。パキスタンとサウジアラビアでは、強硬派によるクーデター等が発生した場合は、中東問題がクローズアップされ、これは原油価格に反映されることになろう。逆にいえば、原油価格が安定的に推移していれば、外部環境が急速に悪化しないことで従来通り、各国中央銀行による過剰流動性供給による相場が継続されることになる。今後、投資家は原油価格動向には一層の注意を払う必要性が高いと思う。
このような投資環境下、投資家は資産防衛に対し従来より一層、丁寧な対応をしていくことが必要だ。減らさない、生き残ることを主眼に、増やしたいという欲望との葛藤に打ち勝つ強い意志が求められよう。目先の相場の乱高下はあろうが、いずれにせよ、市場は、政府に決断を迫るべく強烈な催促を断行する可能性が高まったと考える。政府の無駄使いは今のところ止めません、景気のてこ入れはできません、金融問題も手がつけられませんでは、さすがに、お金を株券に変えるにはリスクが大き過ぎるだろう。まずは、金融庁の特別検査に注目だ。厳しい対応となったなら、買い。甘い対応なら、市場が一時的にモラルハザードに陥り上げた局面(最悪の事態を想定し売り込まれた銘柄の上昇局面)が絶好の売り場がやってくると考える。なお、この場合、3月決算期を通過した4月から5月の混乱を見通した中期戦略となろう。