投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 18 日 11:49:45:
速水日銀総裁は、デフレ・スパイラルに陥るかどうか、注意深く情勢の点検をすることが必要、と述べたうえで、現段階ではデフレ・スパイラルと言い切る状況ではない、との認識を示した。
参議院財政金融委員会で入澤肇議員(自民党・保守党)の質問に答えたもの。
速水日銀総裁は、景気の現状認識について、「生産の減少が、雇用、消費に広がりつつあることを通じて、調整が厳しさを増している。それに、米テロ事件が加わり、世界経済全体に先行き不透明感が高まった」と述べた。そのうえで、速水総裁は、金融市場への認識について、「何とか無事に9月末を越えることができたが、新しい不安定要素が加わり、なお不安定な状況が続いている。内外の金融資本市場を注意深くみていく必要がある」と語った。
さらに、速水総裁は、物価について、「物価は、需要不足という形で、引き続き下落圧力がかかってくる可能性は十分ある」と述べた。
こうしたことを踏まえて、速水日銀総裁は、「デフレ・スパイラルに陥っていくかどうか、注意深く情勢を点検していく必要がある」と述べた。また、そのうえで、同総裁は、“現段階ではデフレ・スパイラルと言い切る状況ではないのか”との質問に対しては、「そう申してよい」と答えた。
塩川財務相が当座預金残高8兆円を維持するようにと発言したことに関して、速水総裁は、「直接聞いていない」と述べた。
そのうえで、「日銀は、米テロ事件を受けて、9月の金融政策決定会合において、当座預金残高は6兆円を上回るとし、下限を入れるだけで目標額を入れていない。テロ事件を契機に、世界的に決済システム、流動性供給への不安が起こって、同時に為替にも不安があった」と述べた。
さらに総裁は、「金融市場は10月に入ってからも流動性需要は不安定さが続いている。特定の目標を設けず、柔軟かつ潤沢に供給を続けることが適当だと判断した」と語った。
今後の金融政策について、総裁は、「もう少し市場動向を見つめて、分析し、必要ならば(当座預金残高目標)金額を変えることもあり得る」と述べた。
また、速水総裁は、日銀が資金供給を潤沢に行っているものの、民間銀行を通じて、企業や家計に十分資金が浸透していない、との認識を示した。総裁は、「銀行が持つべき信用仲介機能がここ何年か弱くなってきている。果たすべき信用仲介機能が果たされていない」と述べた。
インフレターゲットについて、速水総裁は、「(金融政策の)透明性を高める手段として、検討課題として位置づけている」としながらも、「現在の金融経済環境から、現時点で、採用することは適当でない」と述べた。
物価下落が続いている現時点で採用できない理由として、総裁は、その効果がわかりにくいことなどを指摘した。