投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 16 日 20:04:05:
与党幹部が度々指摘し、一部月刊誌や週刊誌上を賑わしている“問題企業リスト”がジワリと株式市場に浸透し、市場の波乱要因になり始めた。有力誌に元々は伏字だった企業名が実名入りで記載されたのは9月末。だが、市場参加者の間で一連の情報を入手する速度にバラつきが生じ、予想外のタイミングで個別企業株が急落する事態にもなっている。
●通常の取引なのに・・・
10月第2週のある日、問題企業リストに掲載されている金融会社の株価が突如急落した。同日午前の取引では小高く推移していたが、午後になって中堅の運用会社が出した売りがきっかけとなり、一時前日に比べ20%近くも下落したのだ。この運用会社は欧州系の証券会社2社を通じて売り注文を出した。「ポートフォリオ入れ替えに伴う通常取引」(関係筋)だったが、注文が比較的まとまった額だったことに加え、「リスト掲載企業だったことから証券会社のディーラーが売り仕掛けに出た」(米系証券)という。
内外大手証券の売り手口をみて、中堅証券や地場証券の自己売買部門も売りに参戦。
この過程で中堅証券関係者の間では「どうやらこの金融会社がリストに載っているらしい」との観測が加わった。
ここで大手証券の関係者が再確認させられたのが、“問題企業リスト”が多くの投資家に伝播し切ってなかったということだ。
●伝播のピラミッド
この種の情報が伝わるのは、明確なルートがある。人材豊富な大手銀行、国内大手証券・外資系証券に次いで準大手、中堅証券という具合に降りてくるのが常だ。今回のリストに関しても同様の経路をたどっているとみられるが、「大手の金融機関同士は全て行き渡っていると思っていた中で、突如経営不安情報が伝わった」(銀行系証券)という。
つまり、この金融会社の場合は、巨額の有利子負債は抱えているものの、メーンバンクの支援も強固で、かつマイカルのような資金繰り不安も抱えていない―。情報ピラミッドの頂点にいる大手勢はこう踏んでおり、急落で虚を突かれた格好になった。
●情報開示を!
問題企業リストに掲載されている個別企業は、それぞれ巨額の有利子負債を抱え、過去のしがらみに縛られている会社が大半。「マイカルのような形で市場の攻撃を受ければ、間違いなく倒産する企業は少なくない」(大手銀行筋)。しかし、「経営再建計画を着実に履行し、資金も順調に回っている企業も含まれる」(別の大手銀行筋)のも確かだ。
しかし、情報が独り歩きし、かつその伝播速度には明確な差がでる。このため、問題企業を取引先とする銀行勢からは「正直に掲載企業の中身を情報開示してはどうか」(同)との議論まで浮上している。
株式市場はなお、この問題企業リストに振り回されることになりそうだ。
○URL
・実在した“問題企業リスト”〜市場揺るがす震源に
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200109/25/20010925133009_06.shtml
[相場英雄 2001/10/16 14:16]