投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 15 日 21:56:00:
ヘンリー・カフウマン博士はアメリカを代表する経済アナリストであり、自ら運営するファンドで世界中に投資する「強いアメリカ」の象徴的人物でもある。が、最も有名な顔は≪ミスター・デスティニー(運命)≫。グリーンスパンFRB議長をはじめ、アメリカの金融、経済当局に太いパイプと影響力を持ち、その発言は世界経済の動向を左右するといわれている。
小泉政権の二枚舌に怒る同氏は、日本の未来に厳しい予言を呈する。
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――日本政府は改革を強調している。変化は見えていないか。
「小泉政権ができた時、彼は断固として改革する、そしてすぐにやるといった。国民もそれに期待し、高い支持を与えたはずだ。ところが、今まで何もしていないことに誰もが気づいているはずなのに、政権を交替させようという動きになっていない。有権者からの圧力が弱いから日本は変わらないのではないか」
――米国が強く求める不良債権処理では、その計画が「3年」から「7年」に延びた。
「だからアメリカは日本の改革に懐疑的になっている。日本の不良債権額は発表のたびに増えている。世界第2位の経済大国が抱える、世界経済にとっても、日本経済にとっても重要な問題にもかかわらず、それを何とかしようという意思が感じられない。不良債権があまりに多く、日本の銀行は資金を貸し出す余裕を全く失っている。今のまま市場に資金を出さず、投資もしないなら日本が復興しないことははっきりしている。とにかく、少しでも早く不良債権を処理することが必要だ。そのためには、まず偽りのない財務内容を示さなければ何も始まらない」
――アメリカ資本は日本の不良債権を安く買って利益を得ようとしているのでないか。
「すでに旨みは少なくなっている。日本の不良債権には暴力団が絡んでいるものもあり、安いだけではメリットにならない。むしろ、これからは企業買収が増えるのではないか。特に銀行や生命保険会社の買収はこれからもまだまだ続くだろう。ただし、買収価格は十分に投資メリットが期待できる金額でなければならないし、買収後にはこれまでのやり方を全く変える経営陣を立てることが条件になる。そのためにも、日本人が変革を受け入れる意思を持っているかどうかを注視している」
――ルノーが傘下に収めた日産では大規模なリストラが断行された。
「日本企業は自らの文化を捨てる覚悟をしなければならない。どんな企業でも国でも、いつまでも同じことをやっていては成長しない。アメリカ企業も不況の時には日本企業に次々と買収され、日本式の経営を受け入れて復活した。日本もそうすべきだ。再生のためには商品開発も合理化も必要であり、解雇も受け入れなければならないだろう」
――そうした「日本買収」はいつ起きるのか。
「経済を支える輸出産業を救うために、日本は円安政策を進めざるを得ない。外国資本は、円が急落して日本企業が安く買えるタイミングを見計らっている。純粋に経済学的な見地からいうと、1ドル=130〜140円程度まで落ちる可能性がある」
――G8(主要国財務相・中央銀行総裁会議)では、日本の為替安定政策の要求は各国に無視された。
「表面的には協力するといったとしても、どんな国も自分たちの利益を最優先させる。日本がどんなに困っていても、“武士の情け”で助けるなどあり得ない。それがグローバル経済の鉄則だ」