投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 15 日 11:08:10:
97年、98年の金融破綻が10月から12月に集中して起こっていることを考えると今後は、依然として引き摺っている「不良債権問題」には投資家は警戒感を強めておく必要はあろう。前提は、来年4月からのペイオフ解禁の再延期の有無で全く逆のシナリオとなろうが、まずは、再延期はないとの想定で今後をイメージしておく必要がある。この場合、今月から金融庁が前倒し実施する特別検査の結果が重大な意味を持つだろう。今回もまた検査が中途半端なものに止まれば、残念ながらペイオフ解禁後、多くの預金者が泣きをみる可能性を先送りすることになる。当然、これは社会的な混乱を引き起こすことで、政策当局は回避すると予想される。そこで、今回の特別検査は中途半端では終わらず、ペイオフ解禁前に混乱を最小限に抑えることを目的に厳格な対応がなされる可能性が高いと言えよう。長引く不況による不良債権の発生と株安と多額の評価損の計上。9月中間期の評価損の計上をまちまちにするということから窺い知れる銀行の体力不足。さらには、法定準備金を取り崩してまで配当原資を捻出する可能性が出るまでに追い詰められている銀行。そのような状況で、ペイオフ解禁前に、厳格な資産査定が実施されることを考慮すれば、当然、過小資本に陥る銀行が出てくる可能性は排除すべきではなかろう。ただし、今回は、公的資金再注入期待、銀行株上昇には結びつき難いと考える。今回の公的資金再注入は冷徹な原理原則論が採用される可能性が高いと考えられるからだ。つまり、責任問題を曖昧にしたままでは税金投入はないと読む。そこで求められるのは、経営責任と株主責任であろう。99年2月のような公的資金投入はすでにそのやり方では効果がなかったことが判明している以上、同じ過ちは繰り返せない。となると、残されたスキームは、当局が積極的に介入し、優良債権は健全行が引継ぎ、劣悪資産はRCCが受け入れるという術式が採用される可能性が高そうだ。特別検査の結果とその後の動きを見極めるまでは、過大な有利子負債に依存し本業が不振の企業やそのような企業にカネを貸し込みニッチモサッチもいかなくなっている金融機関の株は危なくて触れないということになる。ただし、当局の決断がなされた瞬間に、わが国は、不良債権問題との訣別が確認され、底入れを実現することになることが想定されよう。ツケはいつか払わねばならない。その期限が迫っていることをいよいよ覚悟しなければならないようだ。責任問題を曖昧にしたままで、金融恐慌怖さに先送りした過去の教訓を糧に、当局の英断が待たれる局面と前向きに捉えておきたい。事態がここまで煮詰まれば、ペイオフ解禁前に問題を短期に処理をした方が経済にとってプラスに作用するのだから。