投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 13 日 21:54:52:
生保商品チェックポイントの第4回は保険金の額についてだ。心配性な人が多いのか、日本人は多めの死亡保障を付けてしまいがちである。だが、その分、保険料は高くなる。必要十分な保障額を考え、無駄な保険料を払わないで済むようにしたい。
独身か家族持ちか、サラリーマンか自営業者か、公務員か民間サラリーマンか――。これによって必要な保障額も変わってくる。大手企業に勤めるサラリーマンの場合、会社が通常、500万−1000万円ぐらいの保険に入っている場合が多く、厚生年金制度の遺族年金もある。こうした給付金も、考慮したうえで保障金額を考えなくてはいけない。
生涯資金1.2億円−保障額は4000万−6000万円
第一生命保険が顧客に示す「生涯設計プラン」によると、35歳前後のサラリーマンが亡くなり、32歳の妻、4歳、1歳の子供が残されたとすると、子供が独立するまでの生活費が約4300万円、公立の小中高を経て、私立文系の大学に入学した場合の子供の教育費が約2600万円、子供が就職した後の妻の生活費が約4500万円――約1億2000万円程度の資金が必要となる。住宅資金を入れると2億円近い額になる。
同社は、こうしたケースについて、保険による保障必要額を約6000万円と試算している。必要額のうち、公的年金制度から支給される遺族年金約5000万円、死亡退職金250万円が支払われ、預貯金も約600万円あると前提しているためだ。
これに対し、ファイナンシャル・プランナーの石井ゆたか氏は「夫が平均的なサラリーマンで妻が主婦という標準的な家庭の場合、子供が生まれたときの保障額が人生で一番大きく4000万−5000万円ぐらい」と語る。第一生命に比べると金額が少ないのは夫に万が一のことがあったら妻は働くもの、という考え方によるものだ。
若いうちは死亡保障少なくていい
また、同氏は、「保障額は子供の成長につれて減額していくべきだ。子供が中学生ぐらいになったら、死亡保障は2000万円ぐらいでいい」という。ただ商品によっては減額の自由が限られている場合もあるので注意を要する。初めから一定率で保障額が減少していく逓減型の保険もある。
独身の人は、将来は結婚して、子供が出来て?などとあまり先々まで考えて保険に入る必要はない。若くして死亡する可能性が小さいことを考えれば保険料は無駄に過ぎない。
ただ、若いほど保険料は割安なため、貯蓄と万が一のときのお葬式代にはなるような、終身保険に加入することを進めるファイナンシャル・プランナーもいる。共稼ぎ夫婦も同様だ。残された方の収入だけでは足りないと思われる場合にそれを補う程度でいいと考えて保障額を決めたほうがいい。
医療保険は単品、特約ではなくなるケースも
大半のFPは死亡保障の掛け過ぎを警告する。しかし、医療保障については、若いうちから十分な額の保険に入ることを勧めるFPは多い。ファイナンシャル・プランナーの畠中真弓氏は「保険料の安い若いうちに、終身の医療保険に加入することを勧める」という。支払う保険料の総額も、早くから加入した方が少なくなる。
また、終身保険などの医療特約として加入するのではなく、単品の医療保険への加入を勧める。本人の終身保険に家族の医療特約も付けた場合、本人の死亡で、家族の医療特約もなくなってしまうし、高齢になると終身保険を解約するケースが多いが、そうした場合にも医療保障がなくなってしまうためだ。また、終身の医療特約を用意している保険会社は少ない。
1月の規制緩和で、医療保険分野に大手生保や損保系生保などが参入し品揃えが格段に豊富になった。死亡したときのリスクについては十分に考えている人も「長生きのリスク」については目が行き届いていない場合が多い。しかし、公的な健康保険や年金制度への不安が高まっているこの頃、予想以上に長生きを「してしまったとき」にも安心できる保障を考える必要がある。
(参考)このシリーズのこれまでの配信は以下の通り
(1)支払い余力を十分吟味-まずは財務の健全性(9月22日)(2)甘い言葉にだまされないで-手間暇掛けて選ぶ(9月29日)(3)100万円、10年預けたった6万円-これって貯蓄?(10月6日)
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