投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 12 日 20:00:32:
米英両国などによるアフガニスタンへの戦闘開始で、不安視される世界経済の行方。今後焦点になるのがこの戦いの終着点。早期終結か泥沼化をたどるかで、経済に与える影響はまったく異なる。「軍事行動自体が長期化すれば、金融市場や景気にネガティブ・インパクトを与え続ける」(第一生命経済研究所)。報復テロへの懸念から、個人消費の減退がささやかれるほか、ドル安進行によるソニー<6758>や東芝<6502>、NEC<6701>などハイテク企業の業績も浮上のきっかけをつかめない。景気の早期回復には、戦闘の早期終結しか選択肢はなさそうだ。
●戦闘1年続けばGDPは大幅悪化
大和総研がまとめた「終結時期で分けた日米経済への影響度調査」によると、「戦闘が1年かかる」と見た場合、2002年度の実質GDP(国内総生産)は米で0.9%、日本で0.4%それぞれ引き下げ、金額ベースでは実に2兆円の需要が日本から奪われると試算している。とくに日本では「財貨・サービスの輸出」や「民間設備投資」部門が1%を超える大幅な下げになるなど、民間企業の業績に大きなダメージを与えると分析。企業収益の悪化〜雇用・収入の減少〜消費不況〜物価のさらなる下落・・・といったデフレスパイラルに陥る危険性が極めて高いといえる。
●止まらない悪化の流れ〜国内企業業績
報復テロが否定できない現在、ドル安進行も大きな心配の種になる。もしドル安が進めば日本の産業界では、とくにハイテク企業を中心に業績の下ぶれ懸念が再発する。現在の株式市場をみても、米国依存度が高いソニーや東芝、三菱電機<6503>といった優良ハイテク銘柄が嫌気され、次々に年初来安値を更新。とくにソニーは売られに売られ、現在の株価は今年の最高値(5月22日)に比べ、6割減の水準に陥っている。
また、製造業以外でも事態は深刻だ。団体旅行や出張の取りやめが相次ぐ航空機業界では、日本航空<9201>や全日本空輸<9202>が業績を大幅に下方修正を余儀なくさせられるほか、個人消費の減退で自動車、小売り、レジャー産業などが今後業績を見直しさせられることは間違いない。
●長引くのか、焦点は景気回復時期に
今後の焦点はいつ戦闘が終結し、世界経済が回復への糸口を見出すかに尽きる。奥田日経連会長は「報復攻撃が短期間で終われば、世界に安心感を与え、景気にとってはプラスに働く」と分析する半面、日立製作所<6501>の庄山悦彦社長は「見通しは非常に厳しい」と前置きしたうえで、「来年半ばと思っていた回復時期が半年ずれ込み、2003年の年明けになるのでは」と、長期の景気低迷は避けられないとの見方を示す。
「早期の解決が最大の景気対策」(大手電機メーカー首脳)―。はるか中東における戦闘の行方が、今まさに日本経済復活のカギを握っている。
○URL
・大和総研
http://www.dir.co.jp/
[井原一樹 2001/10/12 09:26]