投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 12 日 19:07:35:
完全失業率が5%に達するなど悪化する雇用情勢に対応するため、47都道府県、12政令指定市のうち、40道府県と1市が9月補正予算に「雇用対策」名目の費用を計上したことが、朝日新聞社のまとめで分かった。総額は約277億円にのぼる。国の補助を受けない単独事業を組んだところも25道府県あった。新たな雇用の場の開拓や、失業した人の職業・技能訓練が目立つ。「地方は、国を待てない」という姿が浮き彫りになった。
政府が9月20日に決定した総合雇用対策は、新産業の育成、雇用のミスマッチ解消とセーフティーネット(安全網)の整備を柱としている。しかし、具体化に必要な補正予算案は国会に提出されておらず、知事らからは「国の補正予算編成まで待つことができない」という声があがった。
自治体が独自に取り組んだ個別の事業をみると、新しい雇用の場をつくろうという模索がうかがえる。起業を後押ししたり、労働力不足の農林業に目を向けたりするのが代表的だ。
秋田県は「開業・開店起業化支援事業」に1億5100万円を計上。長野県は「信州創業塾」や「きこり塾講座増設」の予算を組んだ。
自治体が仕事をひねり出そうとする試みも多かった。愛知県はバリアフリーの観光パンフレット作製、ものづくりのホームページの作製などを盛った。岐阜県は県営住宅緊急修繕や民間保育所耐震調査などをする。公文書館の関係資料のデジタル化(沖縄)、火山ハザードマップ作製(栃木)などもある。
職業・技能訓練を充実させる自治体が目立つ。
岐阜県はIT応用能力開発、愛知県は介護ビジネスの再就職訓練などを取り上げる。
45歳以上の失業者の職場実習(石川)や、履歴書の書き方、面接の受け方といった再就職支援マニュアル作成(山口)まで計画している。三重県は商工会議所での会社面談会を企画した。
45歳未満の失業者を試験的に雇った企業に2カ月間、給料の半額を補助する(北海道)、新技術開発、新分野進出の研究から事業化までの費用の半額を助成する(鳥取)など、金銭の給付によって雇用拡大を目指す動きが見られる。
9月補正の「雇用対策費」の総額が大きいのは、福島県の80億3400万円、北海道の73億5500万円、新潟県の29億4500万円、岐阜県の23億5800万円などだ。福島と新潟は、中小企業の倒産防止に向け融資や貸付金の資金、北海道は雇用確保のため冬場の公共事業費70億円を単独計上したため膨らんだ。(05:59)