日本債券(終了):もみ合い、140円警戒―ポジション調整売り(2)東京 10月12日(ブルームバーグ)

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 12 日 18:49:42:

12日の債券相場はもみ合い。10日の 20年国債入札を無難にこなしたことで、短期的な需給好転から長期債需要が高まると期待された一方、市場では先物12月物の140円台では利益確定売りが膨らむとの懸念も強かった。日銀がこの日開催した政策委員会・金融政策決定会合では予想通り金融政策の据え置きが決まったことで、週末のポジション(持ち高)調整の売りがやや優勢となった。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジストは、「週末のポジション調整に押されたものの、きょうの債券相場はこう着した展開だった。基本的に相場を取り巻く環境は大きく変わっておらず、景気悪化と財政支出という好悪材料が均衡している状態。今後は2001年度の税収見通しが見え始めることに伴い、悪材料が具体化するとみられるため、相場の上値を抑える要因になる」と言う。

  先物12月物は前日比8銭安い139円85銭で始まり、直後に買い戻しが優勢となり139円98銭まで上昇し、3日以来となる140円回復に迫った。午後に入り139円80銭台を中心に推移していたが、1時過ぎから売り優勢となり139 円74銭まで下落。その後は139円70―80銭台での推移が続いた。

  日銀は午後1時10分ごろに、この日開催の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めたと発表。先物相場が徐々に水準を切り下げたタイミングと重なるものの、市場では今回の会合では政策据え置きとの見方が一般的で、相場の反応は鈍かったようだ。決定した内容に失望したというよりは、売りを出そうとしていた向きが決定会合の結果を見て動いたとみられる。

市場では10日実施の20年債入札を無難に乗り切り、短期的な債券需給が好転していることから、前日から先物12月物は140円回復を目指す展開となった。しかし11日には139円97銭、12日は139円98銭までの上昇にとどまり、大台を前に足踏み状態が続いた。

  こうした要因として、UFJキャピタルマーケッツ証券の道家映二シニアストラテジストは「国債増発や銀行への公的資金注入に絡んだ日本国債格下げ懸念など悪材料が控えている。今後悪材料がはっきりしてくれば売り要因となる」とみられるためだ。仮に12月物が大台の140円台に乗せても滞空時間は短いとみられている。

           現物1.385%

  現物10年物の234回10月債の利回りは、前日の終値1.360%を上回る(価格は下落)1.365%で始まり、その後は緩やかに水準を切り上げ、午後3時過ぎには1.385%に上昇している。証券会社の店頭では超長期国債に海外年金などの投資家から売りが出たとみられ、10年ゾーンもその影響を受けたようだ。

  現物市場では前週末から10年債利回りが1.4%台に上昇した水準では、その都度投資家からの押し目買いが入り、相場の下落リスクは後退している。利付国債入札も23日の10年債(11月発行)まで予定がないので需給面から債券相場は上昇しやすい。

  しかし、10年債利回り1.3%台半ばでは利益確定売りが増えるとの懸念も強く、大半の投資家は新規取引を見送った。「市場では上値に対する警戒感が強く、10年債利回り1.35%、先物12月物の140円台から買い進む材料も見当たらない」(岡三投資顧問調査部・坂東明継次長)と指摘された。

          税収見通し1.1兆円減

  12日付の日経新聞夕刊は、財務省は12日、2001年度の補正予算編成に関連し、同年度の税収見通しを当初予算段階より1兆1000億円程度減額の49兆円台半ばとする方向で最終調整に入ったと報じた。

  一部報道では2兆円近い減収になるとの観測も出ており、日経新聞の記事はこの日の債券市場では直接的な売り要因にはならなかった。ただ、税収見通しの下方修正の幅や補正予算規模が具体化すれば、「現在の債券相場の水準はキープできなくなる」(道家氏)とみられており、投資家の購入意欲を減退させる一因となったようだ。

  塩川正十郎財務相は12日の衆院財務金融委員会で、「潜在需要を掘り起こすためにも、早急に補正予算を立ち上げていきたい」と述べたうえで、「来週中にも(2001年度の)税収見込みが分かると思うので、それを見てから正式に補正予算の枠を決定したい」として、早ければ来週中にも補正予算の規模や配分におおよそのめどをつけたい考えを示した。民主党の五十嵐文彦氏に対する答弁。

  一方、朝方は今年度補正で義務的経費が1兆3000億円に達するとの報道を受けて、前日の取引で盛り上がりつつあった長期債投資に水を差した。政府は 2001年度当初予算で、既に28兆3000億円の国債を発行しており、小泉政権が目標としている30兆円枠まで1兆7000億円しか残っていない。市場では税収が大幅下方修正されるとの観測が強く、仮に補正予算規模が予想範囲内に収まっても、国債増発は避けられない。

  12日付の産経新聞では、2001年度補正予算で、雇用対策などの政策的経費とは別に、当初予算で見込めなかった費用を支出する「義務的経費」の追加が1兆3000億円に達する見通しと伝えた。これは前年度補正よりも5000億円程度多いという。

(債券価格)        前日比 利回り長期国債先物12月物 139.79  -0.14  1.445 売買高(億円)  18085 234回10月債 100.13       1.385(+0.025)東京 山中英典 Hidenori Yamanaka HS



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